サイディング材の壁と壁の継ぎ手部分にある目地コーキング(シーリング)は、経年劣化によって伸縮したり、亀裂が入ってきます。
モルタル壁や金属系のサイディング壁にはほとんど必要ではありませんが、窯業系のサイディング壁では定期的なメンテナンスが必要となってくる箇所になります。
メンテナンス方法としては、既存のコーキング材を撤去して新たに打ち直す「打ち替え」と既存のコーキング材を残したまま上から新たに打つ「増し打ち」という方法があります。
こちらでは、コーキング工事の費用単価や劣化状況・施工手順についてご紹介いたします。
コーキング工事の費用単価について
コーキング打替え
既存コーキング材の撤去処分費:「¥200~400円/m」
養生・プライマー・新規コーキング充填:「¥400円~800円/m」
幅×厚み(mm) | ウレタン(円/m) | ポリサル(円/m) | 変成シリコン(円/m) | シリコン(円/m) |
10×10 | 400 | 450 | 450 | 500 |
15×10 | 450 | 500 | 500 | 550 |
15×15 | 550 | 600 | 600 | 650 |
20×20 | 750 | 800 | 800 | 850 |
コーキング工事の費用単価は、「施工箇所の幅や厚み」、「コーキング材」の種類によって異なります。
外壁塗装で使用するコーキングは、主に上から塗装が可能な「変成シリコン」となります。
コーキングの増打ち
養生・プライマー・新規コーキング充填:「¥400円~800円/m」
※増し打ちは、既存のコーキング材を撤去せずに、上から新規で打ち込んでいく手法です。
(増し打ちは主にサッシ・玄関扉のまわりなどに行います。)
コーキングのみの工事も出来るのか?
外壁塗装を行わずに、コーキングのみの工事もできます。
外壁よりもコーキングの方が劣化スピードは早いので、コーキングのみ打ち替えることもよくあります。
ですが、2F作業の場合は仮設足場がどうしても必要なため、コーキング単体の工事でも安く工事が出来るわけでもありません。
コーキングはどのように劣化する?
コーキングは、年数の経過と共に硬化して、接着力が弱まり剥離(剥がれ)してきます。
また、コーキングに亀裂が入って劣化するケースも多いです。
そのほか、コーキングが伸縮して引っ張られることによって、外壁材が割れてしまうケースがよくあります。
空いた隙間から、雨水が侵入して内部を傷める原因になってしまいます。
外壁材以外でも、破風板、帯板などの継ぎ手部分にもコーキングは使用されており、年数が経つと劣化してきます。
こういった細かい箇所もコーキングで補修していく必要があります。
コーキングの構造について
1液型と2液型について
1液型は、そのまま打ち込んで自然乾燥によって硬化していくタイプです。
2液型は、現場にて硬化剤に混ぜて打ち込んで硬化していくタイプです。
1液型は、出来上がったものが、カートリッジタイプでよくホームセンターなどで売られています。
費用面では、現場で混ぜていく2液型の方が材料費は安く済みます。
2面接着について
サイディング壁のコーキングでは、2面接着を行っていきます。
底面にボンドブレーカーというシールを張って、左右の相対している面にのみコーキングを接着させます。
底面は、シールによって接着効果が無効果されて、2面での接着となっています。
これは、建物に動きが生じた場合に、3面に接着していると、動きでコーキングが破断してしまうためです。
コーキングの施工手順
縦目地ジョイントのコーキング施工
施工前の劣化状況です。
旧塗膜の劣化と既存のコーキング材が剥がれ、隙間が生じています。
既存のコーキング材を、カッターなどで切り込みを入れて、撤去していきます。
古いコーキングが残らない様にキレイに取り除いていき、目地の左右に「マスキングテープ」を張って養生していきます。
その後、プライマーを下地に塗布していきます。
コーキング専用のガンで、目地に新しいコーキングを充填していきます。
新規コーキング材の充填後、ヘラ等で綺麗にならしていきます。
最後に、マスキングテープを剥がして完了です。
サッシまわりコーキング施工
上記のジョイント同様に、既存のコーキング材を撤去して、養生を行ってからプライマーを塗布していきます。
※サッシまわりでは、コーキングの状態が良いケースに限り、「既存のコーキング」の上から新しくコーキングを打つ、増し打ちで施工するケースが多いです。
サッシまわりは増し打ちが多い?
サッシまわりのコーキングは、カッターでカットする際に「サッシや防水シート」に傷がついてしまうリスクがあります。
また、撤去に手間と時間がかかり、コーキングの充填も綺麗に仕上げるのが難しく、施工できる職人が限られます。
ジョイントのように建物の横揺れでコーキングに亀裂や剥離が出ることが少なく、良好な状態が多いため、劣化が無ければ無理して打ち替えをせず、増し打ちで仕上げることは多いです。
サッシまわりを打替える場合は、増し打ちと比べて費用単価が割高となります。
プライマー塗布後に新しいコーキングを打っていきます。
養生を取り除いて完了です。
コーキング充填後に塗装を行って仕上げていきます。
コーキングに塗膜をつけることで、コーキング材の劣化を抑える役目と色を合わせて美観を良くする目的があります。
コーキングの施工は防水屋さんそれとも塗装屋さん?
コーキング工事を行っている会社は、実は「防水店」、「塗装店」があります。
どちらで依頼しても同様の施工を行ってくれますが、多少のメリット・デメリットがあります。
防水屋さんへ依頼した場合のメリット・デメリット
コーキング工事は、防水工事という項目に入り、防水屋さんの中では「コーキング専門」に扱っている施工店が数多くいます。
外壁塗装なしで、コーキング単体で工事を行う場合には「防水屋」さんに依頼した方が費用が安くなります。
コーキング工事専門の場合、施工スピードも早く「人件費」が抑えられるためです。
また、コーキングの施工は、ある程度の技術が必要で綺麗に仕上げることが難しい工事となります。
専門店であれば、塗装店よりもコーキングを綺麗に仕上げてくれます。
デメリットとしては、塗装工事はできないので外壁塗装を行う場合には、別々で依頼すると割高となってしまう点です。
塗装屋さんへ依頼した場合のメリット・デメリット
塗装店の場合には、外壁塗装とコーキング工事のどちらも対応でき、セットで行えるため費用面を安く仕上げることができます。
ですが、デメリットとしては、コーキング工事は「ついでに行う工事」という位置づけで、塗装店によってはその仕上がりが良くないケースも多いです。
コーキングを色付けする塗りつぶしの施工であれば、その差はわかりませんが、クリア塗装などコーキングが目立つ場合にはその差が出てくることも多くあります。
また防水店よりも工期がかかるケースも多く、その「人件費用」や材料もカートリッジタイプのものを主に使用するため、「材料代」が少し割高となっています。
コーキング工事を塗装店に依頼する場合には、可能であればコーキングの技術がどれほどなのか把握しておくことが大事でしょう。
最後に
コーキングは、外壁の構造上でできてしまう隙間を埋めるためにとても大事な役割を果たしています。
このコーキングが劣化してしまうと、建物に与える影響も少なくはありません。
放って置くと、雨漏りの原因にもなりますので、しっかり外壁塗装と一緒にメンテナンスを行っていく必要性があります。
また、コーキング工事は施工業者によって、手を抜かれやすい施工箇所でもあります。
施工する際は、お見積もり内容と施工手順をしっかりと確認していくことが大事です。