チョーキング現象とは白亜化現象とも言われるもので、外壁の劣化を示すサインとして有名です。
素人でも視認が容易な事から、外壁塗装の目安として使われる便利なものである一方で、正しい知識を持っていないと悪質な訪問営業にも使われてしまうことがあるので注意が必要です。
今回は、そんなチョーキング現象について見ていきましょう。
チョーキング現象の特徴
チョーキング現象とは外壁を手で触った時に手に白い粉が付く現象の事を言います。
これは塗料の経年劣化により樹脂の結合力が低下し、塗膜の中の白色顔料が浮いてしまう事で起こります。
チョークによく似た粉が付着することからその名前がついています。
チョーキングの確認方法
経年劣化による現象ですので、外壁の中でも外的な刺激が強い壁面を触って確認するといいでしょう。
具体的には、日当たりの良い「南~西側」の部分で確認しましょう。
なお、塗装の種類によってもチョーキングのイメージは変わってくるので、しっかりと押さえておきましょう。
<モルタル壁>
モルタル外壁では、触れた時に手には白い粉がつき、外壁自体も色が抜けていることが確認できるはずです。
<窯業サイディング>
窯業系サイディング外壁では、より外壁の色の抜けが強くなります。手に付く粉の量と、外壁自体の色落ちの様子を一つの目安としましょう。
<ジョリパッド壁>
また、最近人気のジョリパッド外壁ではチョーキングが起こりませんので、こちらも合わせて注意が必要になります。
施工不良によって発生するケース
また、チョーキングは10年を目安に起こってくる現象となりますので、明らかにそれよりも早いタイミングで起こったチョーキングについては、経年劣化以外の原因を疑うことも必要です。
具体的には施工不良が挙げられます。
意外と多いのは、「塗料が十分に混ざっていない」、「工程を一つ省いている」、「塗装作業の手順を誤っている」等が原因となり、5年前後でチョーキング現象が見られるケースです。
このような状況が見られた時には、施工不良の可能性が高くなりますので、施工してもらった業者に確認をしてもらうか、また別の業者に確認してもらい、再塗装をお願いするなどといった対応が必要になります。
チョーキング現象を放置するとどうなる?
実際にチョーキング現象が確認できたら、それは再塗装の目安になります。
というのも、チョーキング現象は放置すると少し厄介なものであり、発生してからそのまま放置してしまうと、さらに以下のような症状がでてきます。
外壁の劣化症状(チョーキング発生まで)
1、塗膜のツヤが無くなる
新築からの外壁の劣化について、順を追って確認すると、まず、外壁塗膜のツヤ効果が無くなります。
これにより、いわゆる新築住宅の「ピカピカ感」がなくなりますが、塗膜の耐久性は十分に残っており、問題なく住むことが出来ます。
2、塗膜が変色する
次の段階が変色です。
色が若干くすんできたり、黒ずんできたりという変化が起こってきて、徐々に塗膜が弱くなっていきます。
目視でも家が少しずつ傷んできているのが分かる状態ですが、まだまだこの段階で「塗り替えよう」と思う程ではありません。
3、チョーキングの発生
この次の段階に来るのがチョーキング現象です。塗膜が劣化し、白色顔料が表面に噴き出してきます。
この段階に来ることで塗膜は、その成分が本来のものではなくなり、見た目だけではなく効能そのものが変化してきます。
再塗装が必要という意味はここにあります。
外壁の劣化症状(チョーキング発生後)
1、ひび割れの発生
チョーキングが発生した段階での再塗装を行わないと、次に起こる現象はひび割れになります。
ひび割れは外壁自体にも及ぶことがあり、これにより雨やほこりが壁内部に入ってしまう事を許すことになります。
2、外壁から雨水が侵入する
さらにこれを放っておくと、壁は雨漏りを起こし、外壁としての性能を失い、外壁交換という事になります。
ここまで見てきても分かるように、チョーキングは「外壁塗装が、その効能を保つことが出来なくなった」事を示すサイン。
この時に正しい対処を行えば家を長持ちさせることができ、このタイミングを間違えると、さらに余計な出費を招く結果となってしまいます。
チョーキングの対処方法
チョーキングが見られたらすぐに対処に移りましょう。
基本的に「塗装」を行い改善していきます。
高圧洗浄(水洗い)
まず、チョーキングで発生した白い粉ですが、こちらは再塗装前にしっかりと洗い流すことが必要になります。
粉の上から再塗装をしても、塗料と外壁がなじまず、すぐに分離してしまうのです。
劣化や立地条件によって高圧洗浄が難しい場合には、ホースによる放水とブラッシングで落としていきます。
塗装の下準備
粉を落とすことが出来たらいよいよ再塗装の準備に入ります。
塗装が付着してはまずいところに養生を行っていきます。
そのほか、ひび割れが発生していたら、充填材で補修を行ってから塗装を行います。
外壁の塗り替え
下準備が完了したら塗り替えを行っていきます。
まず、「プライマー、シーラー、フィラー、サーフェイサー」と呼ばれる塗料でしっかりと下塗りを行っていきます。
下塗りの材料は「外壁材の種類」によって変わります。
その後、上塗り材を2回塗布して仕上げていきます。
塗料の種類
上塗りの材料は「シリコン系、ウレタン系から、耐用年数の長いフッ素系や無機系」など多くの種類がありますので、ご自宅の立地環境などを考慮しながら決めましょう。
また、近年出ている「ラジカル塗料」ではチョーキング現象自体を抑える塗料です。
チョーキングの原因となるラジカルという活性酸素の発生を抑えてチョーキングを防ぎ、塗膜の寿命を延ばすという事で、注目されています。
悪質な訪問営業には要注意!
チョーキングの目安と意味、そして対処法をお話ししましたが、初めにも少しお話した通り、チョーキングは素人にも分かりやすいサインであると同時に、悪徳業者が狙ってくるポイントでもあります。
というのも、中途半端に「チョーキングは良くない」という漠然な知識だけを持っている素人を狙って「チョーキングを放っておくと壁が崩れますよ」、「一か所のチョーキングが見られたら、家の壁全体の塗り替えが必要です」等と言ってくる悪徳訪問業者が後を絶たないのです。
確認しておいていただきたいのは、チョーキングは再塗装の目安に過ぎず「そろそろ再塗装の時期だな」程度の認識で問題ないという事です。
チョーキングを見て「これは大変です。すぐに対処しないといけません」といった言い方をしてくる業者は、悪徳業者と見なしていただいて問題ないでしょう。
こういった業者に限って「今週中の契約なら安く済みますよ!」等と言って契約を迫ってきますが、きっぱりと断りましょう。
最後に
チョーキングは素人でも簡単に分かる、家のヘルプサインであるという事、お分かりいただけたでしょうか。
合わせて、ヘルプサインの中でもかなり早めに出されるサインなので、見つけてもそこまで緊急性のあるものでもありません。
ですが、チョーキング後に「色あせ・ひび割れ」などが始まったら早めに対処を検討した方が良いでしょう。
外壁塗装は早すぎず、遅すぎずにベストな時期に行っていきましょう。