外壁はお家を雨漏りから守る為や、美観を保つ為に定期的なメンテナンスを行う必要があります。
メンテナンスの方法は大きく分けて2種類あります。
既存の外壁の塗装を新しくする「塗装」と、外壁材自体を新しくする「張り替え」です。
それぞれの特徴を知った上で、どちらの方法でメンテナンスを行うかを選択しましょう。
今回は外壁メンテナンス方法である「塗装」と「張替え」について解説していきます。
外壁塗装とは
外壁塗装とは、既存の外壁を塗装し直すというメンテナンス方法です。
サイディング、金属、モルタル、天然木など、外壁材の殆どは建材の表面に塗膜を施すことで仕上げられています。
この塗膜には、建材を紫外線から守ったり、雨水の浸入を防ぐという効果があります。しかし塗膜は長時間紫外線や雨水に晒される事で劣化し、剥がれてきてしまいます。
塗膜が剥がれたままだと、外壁材そのものが劣化し、雨水を吸い込んでしまうなど効果を失ってしまいます。その為、定期的に塗装膜を塗り直し、機能を保っていく必要があります。
メリット
安価で行える
外壁張替えと比較すると安価でメンテナンスが行えます。
価格は使用する塗料により変動する為、塗料選びにも注意が必要です。
騒音が出ない
塗装工事は、基本的に音が出ない作業となります。
音が出るのは、仮設足場の際や、高圧洗浄時のみとなります。
騒音が少なく作業が行える点は、メリットです。
デメリット
塗膜以外のメンテナンスが行えない
塗装はあくまで、塗膜のメンテナンスしか行えません。
外壁材にクラック(ひび割れ)、錆びといった症状が起きていても、塗装で補修はできても、直すことはできません。
耐用年数が短い
一般的に使用されるシリコン塗料の場合、対応年数は「10~18年」ほどです。
その為、短いスパンで定期的にメンテナンスを行う必要があります。
対応できない場合がある
外壁材の劣化が激しい場合など、塗膜が上手く密着しないために塗装が出来ないということもあります。
素材により変動しますが、30年以上同じ外壁材を使用し続けていると塗装での対応は難しいと判断されるケースが多いです。
外壁張替えとは
外壁の張替えは、既存の外壁を全て撤去し、新しい外壁に張り替えるというメンテナンス方法です。
外壁材は長年使用し続けることでクラックが入ったり、ひびが入るという症状が発生します。
部分的な症状であれば補修することも可能ですが、症状が全面的に発生している場合などは、全面的に張替えを行う必要があります。
メリット
下地を含めたメンテナンスが可能
外壁は外壁材にて仕上げる為に、下地として防水シート・胴縁、合板などが施工されています。
それらも長年使用することでカビが生えたり、腐食したりと劣化をしてしまいます。
外壁張り替えを行う際は、既存の外壁材を全て撤去する為、それら下地のメンテナンスも行うことが可能です。
とくに外壁から雨漏りした際には、内部の補修ができるため、綺麗に仕上げることができます。
外壁材を変えることが可能
既存の外壁が窯業系サイディングだからといって、窯業系サイディングに張り替える必要はありません。
金属系の外壁材やモルタルなどの塗り壁へ変更することも可能です。
外壁材を変更することで、見た目の変化以外に様々な効果を得ることができます。
例えば窯業系サイディングから金属系サイディングに変更することで、外壁が軽量化されます。
その結果、建物に掛かる負担を軽減させることができ、耐震性が向上します。
他にも、断熱材入りの外壁材を選択することで建物の断熱性能が向上し、快適な暮らしへと変化させることも可能です。
デメリット
費用が高い
外壁の張り替えは、既存の外壁材の撤去・処分を行う為、費用が高くなってしまいます。
下地のメンテナンスなど、大掛かりにメンテナンスを行う場合には更に費用が高くなってしまいます。
工期が長い
外壁の張り替えは作業工程が多い為、約2週間の工期が掛かります。
下地のメンテナンスなどを含めると更に工期が長くなることもあり、住みながら工事を行う場合はストレスに感じてしまうことが多いかもしれません。
カバー工法(重ね張り)という選択肢も!
外壁は張り替えるという工法以外に、「カバー工法」という選択も出来ます。
カバー工法とは、既存の外壁材の上から新しい外壁材を張るという工法です。
張り替え工法と違い、既存の外壁材の撤去・処分といった工事が不要な為、費用を抑えつつ外壁を新しくすることができます。
一方、既存の外壁材や新しい外壁材の種類によっては施工が行えなかったり、重量的に建物に掛かる負担が大きくなってしまうことがある為、商品選びには注意が必要です。
塗装と張替えの選び方
塗装は、外壁の塗膜を塗り替える工事で、張替えは、外壁材自体を交換する工事となり、規模が大きく異なります。
では実際に外壁のリフォームを行う際に、どのようにして塗装と張替えを選べばよいのでしょうか?
選ぶポイントについて、ご紹介していきます。
築年数が浅い場合
築10年目~20年目までは、塗装を選ぶお宅が多いです。外壁の塗装を「築10年目に1回目、築20年目に2回」という感じです。
理由として、張り替えるよりも予算が抑えらるリフォームですし、外壁材がそこまで劣化していない状況で、張替えてしまうのは勿体ないためです。
よほど、デザインが気に入らない、断熱リフォームを行いたい場合でない限り、築年数が浅い場合は塗装を行うお宅が多いです。
築年数が古く、劣化している
外壁材の劣化状況(ひび割れ・剥離・錆び)によっては塗装工事が行えない場合があります。
30年以上同じ外壁材を使用し続けている場合は、張り替えを行うしかないといったこともあるので注意が必要です。
理由として、塗装を行っても剥がれやすく意味のない工事となってしまう、木下地が腐食しているため内部の修理も必要という状況がでてくるためです。
築年数が古くなったら、外壁の状況をしっかり調査して選定することが必要となります。
予算で選ぶ
標準グレードで比較した場合、張り替えは「180万円」ほど、塗装は「60万円」ほど、カバー工法の場合は「150万円」ほどです。
いずれも使用する材料のグレードによって、価格がさらに変動します。
予算を抑えて工事を行いたい場合は、塗装工事という選択肢となります。
目的で選ぶ
メンテナンスを行う際、なぜメンテナンスを行うのかといった目的をはっきりすることが重要です。
断熱性を高めたいといった機能向上を目的としたメンテナンスであれば張り替えが必要ですし、とりあえずメンテナンス時期が来たからといった理由であれば、塗装でのメンテナンスでも構いません。
将来的なコストで考える
上記では、塗装の方が張替えよりも安価であるとご紹介しました。
確かに導入コストは塗装の方が安くなりますが、金属サイディンで施工した場合には、将来的にランニングコストが抑えらる可能性があります。
金属サイディンで外壁と付帯分の板金工事を行ってしまえば「20~30年」は、大幅な目メンテナンスが必要なくなります。(コーキングや一部付帯部の塗装は必要)
そのため塗装工事の「2~3回分」となり、足場代等も節約できます。
状況によっては、このようにコストが抑えられますので、選択肢の一つとして、ご検討おすすめします。
最後に
外壁のメンテナンスは決して安い金額ではありません。
塗装と張替えでは、根本的にメンテナンスを行う目的物が違います。
しっかりとそれぞれの特徴を把握した上で、どちらの工法でメンテナンスを行うか検討しましょう。