建築で使われるコーキング材にはさまざまな種類があります。主成分の特徴をしっかりと理解した上で使用することが大事なポイントで、用途にあった使い方をしないと十分な性能を発揮することができません。
そこで今回は、コーキング材の種類と特徴を解説していきます。また、外壁塗装の際に使えるコーキング材を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
コーキング材の主な使用方法
コーキング材は主に、サイディングのジョイント部分や玄関ドアや窓などの開口部周りに充填して使用されています。サイディング外壁同士やサッシまわりの隙間をコーキング材で埋めることで、「防水性」や「気密性」を確保することができます。
一般的に使われるコーキング材はペースト状で乾燥することでゴムのような弾力を持った材質に変化します。
コーキング材の種類と特徴
コーキング材にはさまざまな種類があります。含まれる成分によって使用場所や施工方法が異なるので注意が必要です。コーキング材の種類と特徴をしっかりと把握した上で最適なコーキング材選択することが重要なポイントになります。
コーキングとシーリングの違い
建築現場において、コーキングとシーリングの違いはほとんどありません。
コーキングとシーリングのどちらも隙間を埋めることを目的として使用されています。あらかじめ形が定まったものをシーリング材というのに対して、形の定まっていないペースト状のシーリング材をコーキング材と言うことが一般的です。
コーキング材の種類と特徴
コーキング材には、含まれる成分によってさまざまな種類があります。また成分による特徴も異なるので、使用場所や目的も変わってきます。一般的に使用されるコーキング材の種類と特徴を解説していきます。
アクリル
アクリル系のコーキング材は、新築時のALC板の目地に使用されることはありますが、現在では外装で使用されることはほとんどありません。ウレタンやシリコン系のコーキング材に比べて耐久性が低いため、メンテナンスの頻度が上がってしまうので塗り替え時には使用されなくなっています。
しかし、幅広い色を再現できる特徴があるので、耐久性の求められないクロスの隙間など、内装工事で使われることがあります。
ウレタン
ウレタン系のコーキング材は、アクリル系に比べて耐久性が高く、塗り替えなどの外装工事で一般的に使用されています。コーキング材の耐久性は高いですが、そのままの状態では紫外線に弱いという特徴があります。
劣化したコーキング材には、ほこりが付きやすくなるため基本的には、コーキング材の上から塗装を行ってコーキング材自体を保護する必要があります。
シリコン
シリコン系のコーキング材は、耐久性が高く、費用も安価なコーキング材です。主に水まわりのコーキング材として普及しています。密着性が高く、下塗りのプライマーも必要としない施工性の高さも特徴のひとつです。
ただし、シリコン系のコーキング材の上には塗料が塗れないので注意が必要です。また、ほこりなどの汚れが付きやすいというデメリットもあります。
変性シリコン
変性シリコン系のコーキング材は、上から塗装ができることが最大の特徴です。シリコン系のコーキング材よりも費用は高くなってしまいますが、塗料が塗れることや使用する場所を選ばないことも特徴です。
耐久性や柔軟性の高いコーキング材ですが、ウレタン系のコーキング材と比べると密着性は低くなります。名称にシリコンとありますが、含まれている成分はウレタン樹脂を原料としています。
ポリサルファイド
ポリサルファイド系のコーキング材は、耐久性が高く、ほこりなどの汚れが付きにくいという特徴があります。ただし、コーキング材自体の柔軟性があまりないので動きのある場所への施工はできません。
独特な臭いがあり、塗装する場合には変色することがあるので注意が必要です。
ブチルゴム系
ブチルゴム系のコーキング材は、ルーフィングなどの防水シートの合わせ目などに使用されるコーキング材です。粘着力は非常に高いですが、耐候性は低く、コーキング材が効果した後でも内部までは硬化しません。
そのため、表面にはべたつきが残るという特徴があります。
油性系
油性系のコーキング材は、古くから使われているコーキング材で、シーリング材の原型とも言われいます。酸素と反応して表面だけが効果することが特徴で、板金工事の際に使われることが多いコーキング材です。
コーキング材の1成分と2成分の違いは?
コーキング材の種類には含まれる成分の違いの他に、硬化するタイプによっても違いがあります。
「1成分形のコーキング材」は、硬化剤を使用することなく空気に触れることで自然と硬化するタイプです。ホームセンターで購入することができるのでDIYの際にも使われているコーキング材です。
「2成分形のコーキング材」は、主剤と硬化剤を混ぜることで硬化するタイプのコーキング材です。主剤と硬化剤の割合を正確に混ぜることが重要で、割合を間違えてしまうと硬化不良や不具合に繋がることがあります。
硬化剤を必要としない1成分形のコーキング材の方が取り扱いが簡単ですが、2成分形の方が材料単価が安いという特徴があります。
ブリード、ノンブリードの違いとは?
コーキング材の中には、柔軟性を持たせる為に可塑剤が含まれているものがあります。
可塑剤の入ったコーキング材は、変色や黒ずみ、べたつきを起こしやすい特徴があります。変色やべたつきを起こす現象のことを「ブリード現象」と言い、ブリード現象を防ぐことができるコーキング材のことを「ノンブリードタイプ」と言います。
外壁塗装などで使用するコーキング材には、「ノンブリードタイプ」を選択することが大事です。
外壁塗装で使うコーキングとその価格について
さまざまな種類があるコーキングですが、外壁塗装に使えるコーキングはそこまで多くありません。
外壁塗装で使う場合には「コーキング自体に塗装が出来るタイプを選択することが重要」です。コーキングの上から外壁塗装を行うことで、紫外線によって起こる劣化を防ぐことにも繋がります。
ここでは、外壁塗装に使うコーキング材の耐用年数や価格について解説します。
一般的なコーキングの種類
外壁塗装で使用される一般的なコーキング材は、「ウレタン系」や「変性シリコン系」です。
その耐用年数は「8年~15年程度」とされています。
1成分形のコーキング材は「320ml」のカートリッジに入っていますが、1本あたりの価格は「500円~800円前後」です。
コーキングの上から塗装をすることが一般的なので、塗料の耐用年数にも大きく影響を受けます。
耐用年数30年の最新商品について
近年では、外壁塗料の耐久性が15年~20年もつ塗料が出ていますが、それに比例してコーキングのグレードも性能が上がってきています。
一般的なコーキング材の耐久年数は「8年~15年程度」ですが、最新のコーキング材では、さらに長期間の硬化が期待できる商品がでています。
有名な商品が、オート化学工業のオートンイクシードです。このオートンイクシードは「耐用年数が30年」とも言われています。カートリッジ1本あたりの価格は「1,000円前後」で、一般的なコーキングよりは費用がかかってしまいます。
相場価格はどれくらい?
コーキングの相場価格は施工方法によって異なります。外壁塗装で行うコーキング工事では、「打ち増し」と「打ち替え」の2種類の工法があります。
打ち増しは、既存のコーキング材の上から新しいコーキング材を充填する方法になります。既存のコーキング材を撤去する必要がないので費用は、「700円/m程度」です。
打ち替えは、既存のコーキング材をすべて撤去した後で、新しいコーキング材を充填する方法で、費用は「1,000円/m」程度です。窓などの開口部周りでは打ち増しを選択することもありますが、基本的には打ち替えが推奨されています。
コーキングの仕上げ方(手順)
コーキングの仕上げ方は、施工方法によって異なります。ここでは、コーキング工事の中でも、推奨されている打ち替え工事の施工手順を紹介していきます。
施工手順
①既存のコーキングの撤去
サイディングのジョイントや開口部に充填されているコーキングをすべて撤去します。
②養生テープ貼り
新たに充填するコーキングがはみ出さないように養生テープを貼ります。
③プライマーの塗布
既存の外壁とコーキングの密着性を高めるためにプライマーを塗ります。
④コーキング材の充填
プライマーの塗布後にコーキング材を充填し、ヘラを使って平らにならします。
⑤養生テープの撤去
コーキング材が完全に硬化する前に養生テープを撤去します。
まとめ
コーキング材には、含まれる成分や硬化のタイプ、ブリードに対する性能などさまざまな種類があります。
外壁塗装で使えるコーキング材の種類としては、「ウレタン系」や「変性シリコン系」が一般的であまり多くはありません。外壁塗装を行う際には必ずノンブリードタイプのコーキング材をを使用することが大事です。
「2成分形のコーキング材」の方が「1成分形のコーキング材」よりも耐久性は高いですが、施工費用も上がってしまうので注意が必要です。
そのほか、一般的なコーキング材よりも耐用年数が長い商品も開発されているので、使用場所や目的にあった最適なコーキング材を選択することが大事なポイントになります。最適なコーキングを選び、間違いのない施工を行っていきましょう。