外回りの「擁壁(ようへき)」、入り口の「門柱(もんちゅう)・門塀(もんぺい)」は、外から眺めた時に一番に目に入ってくる箇所です。
そんな擁壁(門柱含む)も年数が経過すると「汚れや劣化」が目立ちはじめ、美観が損なわれます。
一般的に擁壁が劣化した場合は、住宅の外壁同様に塗装で綺麗にしていきます。
ですが、実際に塗装を行った場合に費用がどれくらいかかるのか、気になっている方も多いでしょう。
ここでは、擁壁の「特徴や劣化」、「塗装時期」などもふまえ、塗装した場合の「費用」について解説していきます。
擁壁と門柱の特徴について
擁壁
コンクリート打ち放し
ブロック塀
擁壁(塀)は、土砂の崩壊を防ぐためにコンクリートや石で作った壁の事で、土留めの役割があります。
門柱
モルタル(ジョリパッド)
門柱(門塀)は、玄関前に設置されている「家の顔」となる独立した壁です。表札やポスト、インターホンの設置やプライバシーを守るための役割があります。
壁材には、モルタル(ジョリパッド)やタイル、コンクリ―トなど多種多様で仕上げられています。
※後述では、擁壁と門柱では同様の内容のため、「擁壁」でまとめて解説していきます。
擁壁(門柱含む)の劣化症状と塗装時期は?
コケ、藻の発生
擁壁の劣化で一番気になる方が多いのがコケや藻の付着です。
外観的に古びた印象を与えてしまうコケや藻は、美観が大きく損なわれ、人体への影響も少なからずでてきます。
コケや藻は、高圧洗浄で綺麗に洗い流すことができます。
ですが、一度綺麗にしても再びコケや藻は発生してしまうため、「防藻、カビ塗料」を使用して塗装を行うのがベストです。
コケの発生が目立つようになってきたら、塗装を行う一つの目安となります。
ひび割れ
地震の影響や擁壁の劣化によって、ひび割れが発生します。
ひび割れが発生すると、そこから雨水が内部に入り込み、「割れの悪化」や、「鉄筋のサビ」て膨張したりします。
そのまま放っておくと崩壊にも繋がりかねない、深刻なダメージとなるのです。
ひび割れが発生したら、できるだけ早く補修と塗装を行った方が、被害が少なく良いでしょう。
旧塗膜の劣化
擁壁に塗装が施されている場合、年数が経つと劣化して、「チョーキング」や「剥離」していきます。
塗膜が劣化すると、美観も低下しますし、防水効果が薄れるため、状態によって再塗装が必要です。
おおよそ「約8~10年」で劣化するため、外壁塗装などと一緒に行うと効率よく費用も抑えられます。
擁壁塗装の費用単価について
モルタル(ジョリパッド)の場合「3000円~/㎡」
コンクリートの場合「¥4000円~/㎡」
擁壁の塗装は、一般的な「外壁塗装工事」と同じくらいの費用単価です。外壁同様に「大きさ(㎡数)」や「塗料の種類」によって、費用も変わってきます。
門柱など「塗り面積」が少ない箇所の場合は、㎡単価ではなく一箇所「¥20000円」などの計算となります。
擁壁の場合、基本的に「仮設足場」が必要ないため、単体で塗装を行う方も多いです。ですが、外壁塗装などとセットで行う方が「手間が減る分」、やはり費用単価を抑えることができます。
面積がそこまでなければ、外壁塗装とセットで行うと「サービス」でできる場合もあります。費用単価を安く抑えるなら、タイミングを考えて塗装を行うと良いでしょう。
擁壁塗装の施工手順と最適塗料
擁壁塗装の施工手順
- 高圧洗浄
- 下地調整
- 下塗り
- 中塗り
- 上塗り
施工手順も、一般的な外壁塗装と同様に行っていきます。
高圧洗浄で「コケや藻、汚れ」を洗い流し、研磨剤で「下地の調整」、ひび割れは「補修材で穴埋め」していきます。
専用の塗料で、「下塗り、中塗り、上塗り」と仕上げていきます。
擁壁の最適塗料は?
擁壁に使用する塗料は、下地の素材によって、それぞれ変わってきます。
モルタル系
擁壁の仕上げに多いのが、モルタルです。
砂とセメントと水を混ぜ合わせて作られています。
ひび割れが出やすいため、「弾性系の塗料」を使用していくのがおすすめです。
ジョリパッド系
ジョリパッドは、意匠性に優れ、独特な質感が特徴です。
そのままの質感を生かしたい場合、「専用塗料」を使用していくのがおすすめです。
コンクリート打ち放し
コンクリートや打ち放し仕上げは高級感があり、耐久性も高い壁材です。
セメントに砂や砂利、水を練り合わせて固めたものです。
下塗りに「撥水剤」、上塗りに「カラークリヤー塗料」での仕上げがおすすめです。
コンクリートブロック
昔ながらのコンクリートブロック(ブロック塀)は、ブロック状の建材を積み重ねて形成されて仕上がってます。
ブロック塀は、水を吸収しやすく、劣化も早いため、こまめなメンテナンスが必要です。
また、塗装を行う場合にはとくに注意が必要です。
ブロックは、地面から雨水がまわりやいので、全面を塗膜で覆ってしまうと、逃げ道がなくなり剥離の原因となります。
そのため、正面のみ塗装を行うなど、「逃げ道の確保」を行う事が必要です。
全面に塗る場合には、「水性系の透湿性に優れた塗料」で仕上げることをおすすめします。
もしくは、費用はかかりますが、新たにモルタルやジョリパッドを塗るなどしてメンテナンスを行うのも良いでしょう。
最後に
住んでいるとなかなか目に入らない、しかし外から見ると外観の3割以上を占めることもある擁壁。
この部分を手を抜かずに美しく保つことは、実は家全体の印象に大きく関わってきます。
道路に面していることも多いため通行人の目に留まることも多く、色も、建物との調和はもちろん、周囲の環境に溶け込む雰囲気を望まれるところです。
美観もそうですが、ひび割れなどがあると、そこから雨水が入って、状況はどんどん悪化してしまいます。
擁壁の状態を確認し、少しでも気になる部分がありましたら、早めのメンテナンスをおすすめします。