外壁塗装工事の費用は、安くても「50万円以上」掛かるため高いと思われている方も多いと思います。
そのため、最近では「DIY」で自分で外壁塗装を行っている方や考えている方が増えてきています。
また、ネットやホームセンターでもDIYについて知識を得ることができます。
外壁塗装を自分でやる場合の最大のメリットは「費用が安く抑えられる」点だと思います。
ですが、その反対のデメリットに関してはたくさんあります。
メリットもそうですが、デメリットも理解した上で外壁塗装を自分でやるのか判断していくと良いでしょう。
外壁塗装を自分でやるデメリット
工期がかかる
外壁塗装は、プロの職人が2人で作業に入っても「8~14日」程の工期がかかります。
1人で作業に入った場合には、「2週間以上」を要します。
外壁塗装を毎日行っているプロでも、「2週間以上」かかるため、DIYで作業した場合には、その「倍以上の日数」を考えておいた方が良いでしょう。
DIYでの作業日数が「約30日」として、土日だけの作業の場合には「4カ月から5カ月」かかる計算です。
実際に自分で挑戦して、慣れない作業で体を壊してしまい、最終的に業者に依頼したというケースは非常に多いです。
途中まで仕上げていたとしても、その分の費用は無駄になってしまう場合がほとんどです。
作業が危険である
土日のみの作業の場合には、「4カ月も仮設足場をレンタル」することは難しいので、梯子や脚立での作業となると思います。
梯子や脚立での作業は非常に危険ですし、「効率も悪く、体を悪く」します。
プロの職人でも梯子の扱いには最新の注意を払って作業しています。
塗料を持って梯子で作業を行うのは、非常にバランスが悪く揺れて危険です。
また、何度も上り下りしている内に、体も傷めてしまいます。
もちろん、仮設足場を利用しての作業でも、慣れていないと危険ですし、かなりの重労働です。
耐久性や美観の低下
外壁塗装工事の作業手順は、「高圧洗浄、下地調整、養生、下塗り、中塗り、上塗り」という流れです。
その他、付帯部分の塗装やベランダの防水を行う必要もあります。基本的な作業手順のどれかでも抜けてしまうと質は下がります。
ですが、実際に作業を行うと、想像以上に大変であるため手を抜いてしまう方がほとんどです。
DIYでよく多いのが、3回塗りを2回塗り(下塗り・上塗りのみ)で仕上げてしまうことですが、それなりの理由があって3回塗りを行うため、省いてしまうと品質(耐久性)の低下につながります。
自分で頑張って塗装を行っても、「2~3年」で剥がれてしまう事が多々あります。
そのほか、2回塗りのみや何日も空けてしまうと塗りむらができてしまいます。
外壁塗装では、適切な施工を行はなければ、仕上がり(美観)に大きく影響がでてきます。
長持ちしない
ホームセンターなどで売っている「DIY用の塗料」ではプロが使用している塗料と比べると耐久性は落ちます。
想像してた年数よりも劣化が早く、数年後にまた塗り替えを行う必要が出てきてしまいます。
また、お家の外壁材や環境によって、適した塗料も変わってきます。
塗料を間違えて購入してしまうと、すぐに剥離してしまうこともあります。最適な施工方法はもちろん、塗料選びにも知識が必要となってくるのです。
外壁塗装を自分でやる場合の注意点とよくあるトラブル
外壁塗装を自分でやる場合に知っておきたい注意点とよくあるトラブルについて紹介していきます。外壁塗装を始める前に注意点やトラブルを把握しておくことで最終的な仕上がりや耐久性にも大きく影響します。
塗装の作業には注意点がたくさんある
外壁塗装を自分でやる場合には転落や落下などの安全性に関する注意点や最終的な仕上がりや耐久性を向上させるための注意点がたくさんあります。
塗料は高い所から塗る
外壁塗装を自分でやる場合に塗料は高い所から塗ることが大事です。外壁塗装では作業中に塗料の飛散が発生します。高い場所から徐々に低い場所へ塗装を行っていくことで、低い場所に飛散した塗料への対応が可能になります。
塗料は薄く均一に塗る
使用する塗料は薄く均一に塗ることが重要です。塗料の耐久性は塗料の種類や塗膜によって異なるため、塗装作業中も厚みを持たせて塗装を行う方が多いです。
しかし塗料を大量に使用して塗装を行った場合には、液だれなどの施工不良が発生しやすくなります。塗料の性能を十分に発揮させるためにも塗料は薄く均一に塗ることが大事です。
塗り残しや修正は完全に乾燥してから行う
塗り残しや修正は塗装が完全に乾燥してから行うことが大事です。塗料が完全に乾燥してから修正を行うことで、最終的な仕上がりも綺麗になります。ただし液だれなどの不備が見つかった場合には塗料が乾燥する前に処理したほうが綺麗に仕上がります。
次回の外壁塗装が高額になる可能性
次回の外壁塗装を業者に依頼した場合に、通常の外壁塗装では必要ない下地処理などが必要になるケースがあります。また使用する塗料によっては、次回の外壁塗装で選択できる塗料が限られてしまうこともあります。
自分で施工した場合によく起こり得るトラブル
よく起こりえるトラブルとして、塗りムラや白濁、塗膜の剥離や膨れなどがあります。トラブルの原因は塗装方法であったり、塗装した日の気象条件などさまざまば原因が考えられます。
塗りムラ
塗りムラは塗料が乾燥してから発見されることが多く、塗装作業中には気づきにくい特徴があります。外壁塗装では下塗りや中塗り、上塗りの3回塗りが一般的です。
しかし、塗り階数が増えることで塗り継ぎ箇所での塗装ムラが発生しやすくなります。この塗りムラを避けるには各工程での塗り継か所をずらしたり、塗り継か所でのローラーや刷毛の向きを揃えるなどの専門的な知識や技術が必要になりますが、自分でやるには難しい作業となります。
塗膜の白濁
塗膜の白濁は塗料の乾燥過程で起こる現象です。主な原因には塗装を行った時期や気象条件が考えられます。塗料が乾燥する前に急激に気温が下がってしまった場合や、湿気が高くなることで塗膜の白濁が起こりやすくなります。
自分で施工する場合には、塗装作業にかかる時間と塗料が乾燥する時間まで考慮することが大事です。また外壁塗装を行う時期や時間帯にも注意が必要です。
塗膜の剥離や膨れ
塗装後に塗膜の剥離や膨れが起きてしまうケースがあります。その原因は、下地となる旧塗膜と新しい塗料の密着性の悪さや外壁条件に合わない塗料を使用してしまうといった選択ミスが考えられます。
外壁塗装では下地となる旧塗膜や外壁材の劣化状態に合わせて塗料を選択することが大事です。特に密着性を向上させる下塗り塗料の選択や塗装場所、建物の構造に合わせて塗料の機能性を考慮することも大事です。外壁塗装を自分で施工する場合には最適な塗料の選択がトラブルを避けるための条件になります。
外壁塗装は自分でやっても意外と費用がかかる?
外壁塗装を自分で行う場合には、さまざま道具や材料を用意する必要があります。
その費用を揃えると、意外と費用がかかっていることに気づくと思います。
どれくらいかかるのか、施工手順通りにみていきましょう。
仮設足場または梯子、脚立
2F建て以上の場合では、仮設足場を設置して外壁塗装を行っていくのが基本です。
仮設足場の費用は「100,000~200,000円」ほどの費用がかかってきます。
仮に、仮設足場無しで梯子や脚立を用意する場合では、梯子「20,000~35,000円」、脚立「10,000円」となります。
高圧洗浄(水洗い)
外壁材には、長年の汚れやコケやカビなどが付着しているため綺麗に洗い流す必要があります。
外壁を洗い流すために、「高圧洗浄機」を用意する必要があります。
高圧洗浄機は「20,000円」くらいの費用で購入できます。
各種養生
サッシまわりや地面などに塗料が付着しないように、ビニール養生を行っていきます。
養生費は、マスカー(マスキングテープと養生シートセット)「230円」×数本
ガムテープ「100円」×数個
※建物の大きさによって費用が異なってきます。
下塗り・中塗り・上塗り
外壁塗装工事では、「下塗り、中塗り、上塗り」と計3回塗りで仕上げていきます。
下塗り材の塗料は、一斗缶15kgで「6,000~12,000円」となってきます。
中塗り・上塗り塗料は、「ウレタン、シリコン、フッ素」などさまざまなランクがあり、塗料ランクによって費用は異なります。
ウレタン塗料は、一斗缶16kgで「12,000~15,000円」×2~3缶
シリコン塗料は、一斗缶16kgで「15,000~25,000円」×2~3缶
フッ素塗料は、 一斗缶16kgで「30,000~80,000円」×2~3缶
塗装するのに必要な道具
刷毛「100~300円」×2~3本
※細部の施工に使用します。
ローラーハンドル「700円」
※メインの外壁を施工する持ち手となります。
ローラー「150円」×10本
※塗料をローラーに染み込ませて塗装していきます。
バケット「800円」×2箱
塗料をこのバケットという箱に入れて作業していきます。
サンドペーパー「170円」
鉄部などの下地の調整を行うために使用します。
ラスター「500円」
細部の掃き掃除に使用していきます。
※外壁の面積によって、塗料や道具の数量が異なってきます。
コーキング工事
サイディング壁など、目地コーキングがある場合には、コーキングの打ち替えを行っていきます。
マスキングテープ「400円」
コーキング材「700円」×20~30本
※コーキングのm数によって、数量が異なってきます。
付帯部塗装
付帯部分の「破風板、雨樋、軒天、雨戸、水切り」などの塗装を行っていきます。
鉄部の下塗り材として、錆止め塗料「5,000~10,000円」
木部・鉄部の仕上げ材として、ウレタン塗料「12,000~15,000円」
どちらも、1缶(15kg)くらいあれば問題なく足りてくるでしょう。
各種廃材処分費
外壁塗装で余った塗料は通常のゴミとして処分することができません。少量の場合には、新聞紙などに塗り広げて処理することができますが、大量の塗料のまま処分するには専門の業者に廃棄を依頼する必要があります。
塗料のまま処分する場合には一斗缶15㎏で「1,000~1,500円」
専用の固化剤にて処理する場合には薬剤費用として「2,000~2500円」
外壁塗装で発生した廃材の処分費として「10,000~30,000円」
廃材の運搬費として「18,000~25,000円」
必要な塗料や道具を揃えた場合の費用の合計は?
外壁塗装で必要な塗料や道具をすべて揃えていくと、30坪くらいのモルタルの建物で、仮設足場を設置すると「20万円~30万円」くらいになってくるイメージです。
塗料は、「ウレタンやシリコン」を使った場合で、これに「フッ素塗料やコーキング」を行っていくと、さらに費用は割り増しとなってきます。
仮設足場を設置しないで、梯子や脚立で作業を行うとさらに安くはなりますが、工期が2倍かかると思います。
「30坪モルタル壁」の外壁塗装をプロに依頼した場合、「65~80万円」で行ってくれます。
30万円くらいの差で、10年間安心して過ごせると考えれば、決して高い費用ではないように感じます。
最後に
外壁塗装は高いと感じる方が多いと思いますが、それだけ大変な作業をするので、それに見合った金額設定になっています。
外壁塗装を自分でやるという場合には、まず外壁塗装以外の擁壁や鉄骨階段やウッドデッキなど、ちょっとした塗装を試してみてから自分でやるかやらないかを決めてみても良いと思います。
DIYを趣味としている方にとっては、外壁塗装を自分でやることも良いと思いますが、費用面で安く上げたいから自分でやるという場合にはあまりおススメできません。
塗料や材料費も「3~4割近く」かかってきますし、工期もかかって体を壊してしまう人も多いためです。
また、品質の低下にもつながって、数年後やり直す必要もでてきます。
プロに依頼すると、少し費用はかかりますが、「安心・美観・耐久性・健康」というメリットは大きいです。