屋上防水工事は、主に「ビルやマンション、アパート、一般住宅でも陸屋根」の場合など、屋上が防水施工されているお宅に対して行うリフォーム工事です。
屋上の防水も10年前後から劣化が進行して、ひび割れや防水塗膜が劣化してくるため定期的なメンテナンスが必要となってきます。屋上防水も劣化を放置してしまうと雨漏りの原因となり、劣化状況が酷い場合には防水だけでは間に合わなくなり、大規模な工事につながるケースもあります。
そんな、屋上防水も様々な施工方法がありますので、それぞれの費用についてご紹介しています。
屋上防水の施工方法の種類
屋上防水工事の種類 | 耐用年数 |
ウレタン防水 | 10年~12年 |
シート防水 | 12年~15年 |
アスファルト防水 | 15年~20年 |
屋上防水工事は、どの工法を用いるかによって、「費用」、そして「耐用年数」も変わってきます。
耐用年数に関しては、建物の造りや環境によっても大きく異なります。どの施工方法を選ぶのかは、屋上の状態や劣化状況、予算によって変わってくるでしょう。
また、それぞれの工法にはメリットデメリットがありますので、特徴をしっかりと把握して選ぶことが肝心です。
導入コストが割高としても、耐久年数が長くメンテナンスをあまり必要としない工法は長期的に見ると安く済むというケースもありますので、最初の工事の費用だけでなく次回メンテナンスについても一緒に考えてみる方が良いでしょう。
ウレタン防水の費用単価
防水工事の中で、一番よく選ばれている施工方法がウレタン防水です。下地から「2~3回」ウレタン塗料を塗って、防水層を形成して仕上げていく工法です。
塗料で仕上げるため複雑な構造でも塗装が出来るというメリットがあります。ですが、ウレタン防水は乾くのに時間を要すため、工期がかかる点はデメリットとなります。費用のほとんどは、その人件費で高くなってしまうケースがほとんどです。
屋上もそうですが、戸建てのバルコニーなどの防水でもよく施工されています。
費用相場
ウレタン防水の費用単価:¥3,500~7,500円/㎡
シート防水の費用単価
シート防水は、表面の塗膜(トップコートの塗り替え)が不要で、アスファルト防水の次に耐久性があります。
シート(塩ビシートやゴムシート)を使用して防水していく工法です。
過度な下地調整が不要で、塗膜ではないので気泡など不具合が発生しないというメリットがあります。そのほか、軽量で工期が短めであること、メンテナンスフリーで長期間耐久性を維持するという点がメリットです。
デメリットは、シートを張るという工法であることから、複雑な構造をしている場所には施工が難しいという点です。
費用相場
シート防水の費用:¥3,000円~7,000円/㎡
アスファルト防水の費用相場
アスファルト防水は、主にビルやマンションなどの屋上で施工されています。防水シートの上から、高温のアスファルトを塗り防水層を形成していく工法です。
防水工事の中では、もっとも耐久性があります。ですが、施工中に煙や臭いが発生したり、重量があるので、戸建てやアパートへの施工、リフォームでの施工は難しいです。
小さい屋上防水には向いておらず、かなり広い面積で工事をすることが前提となります。
費用相場
アスファルト防水の費用:¥5,500~8,500/㎡
屋上防水のメンテナンスが必要な症状
屋上防水のメンテナンスが必要な症状には、施工されている防水工事の種類によっても異なります。
一般的には塗膜のひび割れやシート、塗膜の浮き、シートや塗膜の破れなどがあります。劣化症状が悪化することで、水たまりが発生していたり、最悪の場合には雨漏りの発生などが考えられます。
ここでは防水工事の種類別にメンテナンスが必要な症状を紹介していきます。
ウレタン防水
チョーキング現象
ウレタン防水のメンテナンスが必要な症状にチョーキング現象があります。ウレタン防水はウレタン塗料を塗装することで防水層を形成しています。紫外線や風雨などによって経年劣化が進行します。
防水層の表面の保護塗料が劣化することで粉状になるチョーキング現象が発生します。
塗膜の劣化、ひび割れ
チョーキング現象が進行することで塗膜が薄くなります。薄くなった塗膜は紫外線などの影響で劣化していき、ひび割れが発生することがあります。
また下地の劣化によって防水層や塗膜がひび割れてしまう症状もあります。
シート防水
しわ、浮き
シート防水のメンテナンスが必要な症状には、シートのしわや浮きがあります。シートの収縮や下地との密着に使用している接着剤の劣化によって発生します。
しわや浮きによって余計な力が加わってしまうため、劣化に進行しやすくなります。
シートのひび割れや破れ
しわや浮きの発生、飛来物による損傷などによってシートにひび割れや破れが発生します。しわや浮きによって劣化の進行が早まったり、損傷した部分から雨水が侵入しやすくなります。
雨水の侵入によってさらに広範囲の劣化に繋がることがあります。
アスファルト防水
防水層の膨れや浮き
アスファルト防水のメンテナンスが必要な症状に防水層の膨れや浮きがあります。防水層の下の水分が気化することで膨れが発生します。また膨れが発生した場所によっては、接合部分などの浮きに繋がるケースもあります。
経年劣化やアスファルトの硬化、収縮によって防水層が剥がれてしまうこともあります。
ひび割れや目地の破損
アスファルトの熱による膨張や収縮によってひび割れが発生することがあります。伸縮目地が設置されている場合には、、目地が浮き上がってしまったり破損することもあります。
また伸縮目地が機能しないことで防水層が押し出され、劣化が進行することがあります。
屋上防水の費用を抑える方法
屋上防水の劣化症状に合わせて補修費用は大きく異なります。定期的なメンテナンスを行うことで屋上防水の費用を抑えることが可能です。
ドレインの清掃
3か月に1回はドレインの清掃をすることで劣化を防止することができます。ドレインまわりはほこりやゴミ、土などが溜まりやすく詰まりの原因にもなります。
屋上へ上がることが容易な場合には、定期的に清掃することが大事です。
トップコートの塗り替え
5年に1回程度を目安にトップコートの塗り替えをすることで、防水層を保護することができます。
屋上は常に紫外線などの影響を受けているため、定期的なトップコートの塗り替えを行うことで劣化の進行を防ぐことができます。
10年に一度のメンテナンス
トップコートの塗り替えを定期的に行わない場合でも、10年を目安にプロによる定期点検を行うと良いでしょう。10年間メンテナンスしていない状態では、補修が必要なることが一般的です。
劣化症状によっては防水層の形成などが必要になることもありますが、劣化状況の把握と進行を防ぐためにも定期的なメンテナンスは欠かせません。
優良業者に依頼する
屋上防水の費用を抑えるには複数業者から相見積もりを取ることが大事です。また、防水工事の施工実績が豊富で自社施工業者に依頼と良いでしょう。
優良業者の場合には施工後の保証がついていることが多いですが、保証内容をしっかりと確認することも重要です。
火災保険の活用する
屋上防水の費用を抑える方法として、火災保険の活用があります。加入している火災保険によっては、強風などによって劣化や破損してしまった屋上防水の修復費用が支給されることもあります。
まずは加入している火災保険を確認してみましょう。
自治体の助成金や補助金を活用する
自治体によっては屋上防水工事などに助成金や補助金が支給されるケースがあります。自治体によって助成金の対象となる条件が異なるので、ホームページなどで必ず確認しておきましょう。
DIYで行う
屋上防水の費用を抑えるにはDIYで補修作業を行うことも良いでしょう。
ただし、DIYで行う場合には施工面積が少なく、ウレタン防水のトップコートの塗り替えのみなど簡易的な作業に限定されます。作業を行う上で安全を確保できる場合にのみ検討してみましょう。
最後に
屋上防水工事の費用単価をご紹介していきましたが、これらはあくまで目安であり、屋上の形状や用いる材料の質などによっても変わってきます。
屋上防水では、いくつかの工法がありますが、それぞれメリット・デメリットありますので違いを確認して、適切な施工方法をご検討ください。