ベランダ防水工事はベランダの寿命を長くすると共に、建物自体への水の侵入を防ぎより耐久年数を伸ばすという大事な役割を果たします。
そのため、どんな工事の種類があるのかを知り、適切な方法を採ることが大事です。
一般的な住宅のベランダ(バルコニー)防水工事では「FRP防水」か、「ウレタン防水」という方法が採られます。どちらの方法も戸建て住宅、アパート、マンションなど幅広いタイプの建築物に対応していて、より一般的な工法となっています。
そのため、ある程度相場というものが形成されていますので、費用を計算する際の参考になります。ここでは、ベランダ防水工事にかかる費用について解説していきます。
ベランダ防水工事の費用はどれくらい?
一般戸建て住宅で、ベランダ・バルコニー面積(3㎡~10㎡程度)の場合の「FRP防水」、「ウレタン防水」、「トップコート防水」の費用をみていきましょう。
FRP防水
FRP防水工事の費用相場 「10万円~15万円」
新規で防水層を形成する場合や、下地がモルタルなどの場合に行う防水方法です。
下地からガラスマットを貼って仕上げていく防水工事です。
- 下地調整
- 下塗り(プライマー)
- ガラスマット貼り(1層)
- ガラスマット貼り(2層)
- 上塗り(トップコート防水)
ウレタン防水
ウレタン防水工事の費用相場 「8万円~12万円」
新規で防水層を形成する場合や、下地がモルタルなどの場合に行う防水方法です。下地から2~3回ウレタン塗料を塗って防水層を形成して仕上げていく防水工事です。
- 下地調整
- 下塗り(プライマー)
- 中塗り(ウレタン防水)
- 中塗り(ウレタン防水)
- 上塗り(トップコート防水)
トップコート防水
トップコート防水のみの費用相場 「3万円~5万円前後」
既存の防水層「FRP」「ウレタン」の仕上げ材(コーティング)として行う防水方法です。メンテナンスの場合では、表面のトップコート防水のみ塗り替える手軽な防水工事です。
- 下地調整
- 下塗り(プライマー)
- 上塗り(トップコート防水)
ココがポイント
ベランダ防水工事の場合には屋上防水など広範囲の施工と違って、面積が少ないケースが多いため、㎡単価での計算はあまり参考になりません。
作業面積が小さくても、「下地の状態、塗料の乾き、作業効率」によって2日以上かかることもあり、それだけで施工職人の人件費4万円~5万円発生するので割高となってくるためです。
ベランダ防水工事のそれぞれの特徴
FRP防水工事の特徴
FRP防水というのは、FRPという繊維強化プラスチックを材料に用いる防水工事の種類です。耐久性が強くきれいに仕上がり、熱や日光にも強いということで、マンションのベランダなどではFRP防水が多い傾向にあります。
また防水工事をした後も重さが増す割合が少ないので、軽量性が求められるベランダ(バルコニー)に向いている工法と言えます。
こうしたメリットの一方で、地震などによってひびが入りやすいというデメリットもあります。伸縮性がないのがその原因となっていて、強い紫外線に長時間さらされると縮んでしまって、やはりひびが入ることもあります。
表面のトップコートに関しては、「8~10年」を目安に塗りなおす必要はでてきます。
ウレタン防水の特徴
ウレタン防水は、ウレタン樹脂の塗料を「2~3」塗装して仕上げていく工法です。他の工法と比較してコストが低めに抑えられることや、複雑な構造をした場所でも工事ができるというメリットがあります。
一方で、塗膜にムラがでるので若干FRP防水に比べると見栄えが悪くなることがあります。また、耐久性の面ではメンテナンスが必要となり、塗りなおしを定期的に行う必要が出てきます。
表面のトップコートに関しては、FRP同様に「8~10年」を目安に塗りなおす必要はでてきます。
トップコート防水の特徴
トップコート防水は、FRP防水・ウレタン防水の施工後の仕上げ及び、10年前後のメンテナンスとして行われます。
FRP・ウレタンの防水層を作っても、10年後には表面トップの塗膜は劣化してくるため定期的に塗り替える必要があります。工期は、1日前後で仕上がる手軽な工事で、外壁塗装と一緒によく施工を行います。
ベランダ防水が必要な劣化症状
ベランダ防水が必要な劣化症状は、ひび割れや膨れ、剥離などのほかにもベランダに水たまりができるなどの症状があります。ベランダ防水が必要な劣化症状について紹介していきます。
トップコートの剥がれ・ひび割れ
トップコートの剥がれやひび割れは5年程度でも発生します。ベランダ防水のトップコートは、紫外線から防水層を保護する役目を担っています。トップコートの剥がれやひび割れは放置することで防水層の劣化につながります。
防水層のひび割れ
防水層にまで届くひび割れは早急な対応が必要です。トップコートのメンテナンスを行っていない場合には、経年劣化によって防水層にひび割れが発生することがあります。防水層のひび割れは、ベランダ全体の防水性能を損なってしまうため早急な修復が必要です。
ベランダに水たまりができる
ベランダに水たまりができる場合には、ベランダの勾配が変わってしまった可能性があるため下地から補修する必要があります。ベランダは人が歩行することを考慮して勾配がゆるく、水はけが良くありません。
下地材の劣化などによってベランダの勾配が変わってしまうことで、水たまりができます。
水たまりができた場所は周囲に比べて劣化が進行しやすくなります。ベランダの勾配を修復するには、下地の状態で調整する必要があるため大がかりな工事となります。
ベランダ周辺での雨漏り
ベランダの直下や周辺での雨漏りがみられる場合は、ベランダ防水はもちろん、周囲の外壁や軒天など大掛かりな補修を要することが多いです。ベランダ周辺は屋根まわりと同様に雨漏りが発生しやすい場所です。
建物の形状によってはさまざまな部材が入り組んでいるため、雨漏りの原因を特定することも難しくなります。補修範囲を最小限にするためにも事前の検査や調査をしっかりと行うことが大事です。
ベランダ防水の費用を抑える方法は?
ベランダ防水の費用を抑える方法には、定期的なメンテナンスと最適な業者選びが重要です。経年劣化によって補修が必要な時期は異なります。外壁や屋根と同様に劣化症状を把握しておくことも大事です。
劣化症状が軽い状態でメンテナンスを行う
ベランダ防水の費用を抑える方法は、劣化症状が軽い状態でメンテナンスを行うことです。定期的にトップコートの塗り替えを行うことで、防水層の劣化を防ぐことができます。
劣化症状が進行してから補修を行うよりもトップコートが劣化した時点でメンテナンスするのが1番費用を抑えられます。
外壁塗装とベランダ防水を同時に行う
外壁塗装とベランダ防水を同時に行うことで費用を抑えることができます。
ベランダ防水の劣化症状を正確に判断することは難しですが、外壁もベランダも10年を目安にメンテナンスをすることで、経年劣化の進行に合わせたメンテナンスが可能になります。
防水工事専門業者に依頼する
外壁塗装と時期が合わない場合には、防水工事専門業者に依頼したほうが安い場合があります。外壁塗装業者の中には、トップコートの塗装などは自社で行っていても防水性の形成には外注の業者を使っているケースがあります。
ベランダ防水だけを行う場合には、防水工事専門業者に依頼した方が良いでしょう。
複数の業者から相見積もりを取る
ベランダ防水の費用を抑えるには、複数の業者から相見積もり取ることが大事です。
複数の業者からベランダ防水の劣化症状に合わせた補修方法の提案を受けることで、最適な工事方法や費用を把握することができます。
DIYで簡易防水を行う
ベランダ防水の費用を抑えるにはDIYで簡易防水を行うことも有効です。ベランダ防水のトップコート塗装などは、外壁塗装と比べても手軽にできて費用を抑えることが可能です。
ただし簡易防水に使用する材料によっては、次回以降のメンテナンス費用が上がる可能性があるので注意が必要です。
最後に
一般的な住宅においては、FRP防水かウレタン防水が行われます。
FRP防水の費用相場は10~15万円、ウレタン防水の場合は8~12万円というところです。
耐久性や工期の長さ、見た目の良さなど、それぞれにメリットデメリットがありますので、十分に比較して決めていきましょう。