日常生活において、「車の音や通行人の話し声が聞こえる」、「子供が夜泣きするから近所の人に迷惑かけていないか心配...」など、音に関して悩みを抱えている人は少なくありません。
家にいても周囲を気にしないといけないのであれば、防音リフォームをして快適に暮らしたいという人も多いのではないのでしょうか。
そこで今回は、壁の防音対策や、防音リフォームを依頼するときの費用、注意点などを解説していきます。
防音には「遮音」と「吸音」の2種類が存在
まず、防音には「遮音」と「吸音」の2種類が存在します。
遮音
1つ目の遮音は文字通り、「音を遮る」という意味です。
音は、空気中の振動が広がることによって伝わるのですが、この振動を物体で跳ね返したり、遮断することによって音を遮ることができます。
最近では、手軽に購入できる遮音グッズなども登場していますが、鉄・コンクリートなどの密度が高くて重いものを用いて遮音する方法が一般的です。
しかし、遮音性を高めすぎると、音が反響するということもあるので注意しましょう。
吸音
一方で、吸音とは音を遮るのではなく、音を吸収することで「反響させない方法」です。
吸音することで外には音が漏れることはなく、部屋の中では音が鮮明に聞こえるのが特徴です。多孔質と呼ばれる穴の開いた素材に吸収されるので、グラスウールやウレタンフォームなどが使われます。
遮音と吸音で防音するという役割は同じでも、性質は異なります。
そのため、どちらか単体だけを使うのではなく、両方とも使うことによってより効果の高い防音効果が期待できるのです。
誰でもできる防音対策グッズ
現在は防音対策グッズによって、ある程度対策することができます。
実用的な防音対策グッズをいくつか紹介します。
遮音テープ
遮音テープは、ドアの隙間や窓枠などをテープで貼ることによって音が遮断されるようになるので、防音効果に期待できます。
既に使っている防音マットなどの隙間にも貼ると、さらに防音効果を高めることができるので、防音商品のサポート役としても活躍できる商品です。
遮音カーテン
遮音カーテンは、音を遮断しやすい素材で作られています。
室内でうるさくしていても外に音が漏れるのを防ぐので、小さなお子様がいる家庭には必需品と言えます。
また、カーテンなので取り付け方法も非常に簡単です。
防音スリーブ
防音スリーブは、換気扇のダクトに取り付けることが防音グッズです。家にいると、換気扇から外の音が聞こえてくることはないでしょうか。
もし、外の音が換気扇から聞こえているのであれば、室内の音が漏れている可能性があります。そんな時には、防音スリーブを換気扇のダクトに取り付けることによって防音対策になるのです。
しかし、防音スリーブによってゴミが溜まり換気しづらくなるということもあるので、定期的にメンテナンスをおこなうようにしましょう。
卵の容器や段ボール
普段何気なく捨てている「卵の容器や段ボール」にも防音効果があります。卵の容器が凸凹になっていることで、反射を弱めて音を吸収する効果があるのです。
また、段ボールの断面を確認すると、波板が挟まれています。
波板は卵の容器と同じく凸凹になっているので、音を吸収して防音効果が期待できます。簡単に手に入れることができるので、実際に試してみましょう。
防音リフォームの種類と費用
上記で防音対策グッズを紹介しましたが、残念ながら完全に音を防ぐということは難しいです。音を完全に防ぐのであれば、リフォームをする必要があります。
そこで、防音リフォームの種類と実際にかかる費用を紹介します。
壁の防音リフォームと費用
内装リフォーム
防音の内装リフォームでは「室内壁を解体して内側に断熱材を入れる方法」があります。
壁を解体から復旧までと防音材を入れるのであれば、一部屋「15~20万円」かかります。
外壁リフォーム
外壁リフォームは「外壁を張り替えて新らしく断熱材を入れる方法」や、「断熱材入りの外壁で遮音効果をもたらす方法」があります。
費用は、25~30坪のお宅を全面リフォームして、外壁張替えは「200~300万円」、外壁(断熱材り)カバー工法「150~200万円」くらいとなります。
そのほか、遮音効果のある外壁塗料もありますが、後ほど解説します。
窓の防音リフォームと費用
窓ガラスのリフォームも2つの選択肢があります。
本来の窓ガラスとプラスで室内側に窓を取り付けて二重窓にする方法:「8~15万円」
従来の窓ガラスを外して防音ガラスに取り替える方法:「5~15万円」
どちらも、ガラスの大きさや施工状況によって費用も変わります。
防音室を作る時のリフォーム費用
防音室をつくる場合は「既存の部屋を防音室としてリフォームする方法」と「組み立て式の防音室を室内に設置する方法」があります。
室内全体をリフォームするのであれば「230~400万円」、組み立て式の防音室を設置する場合は「50〜250万円」かかります。
これも規模やどのレベルまで防音するのかによっても変わってきます。
外壁塗装で防音対策ができる?
防音対策と聞くと、ほとんどの人は家の内側から遮音材や吸音シートを敷くという方法を思い浮かべるかもしれませんが、外壁塗装でも防音対策は可能です。
外壁塗装で防音対策をおこなうのであれば、日進産業が開発した断熱塗料して人気のある「ガイナ」を使用します。ガイナはセラミック塗料の一種なのですが、セラミックの効果によって防音対策もおこなえることが判明しました。
ですが断熱効果と防音効果を兼ね備えているガイナは、普通の塗料と比べると値段も高いです。
ちなみに種類ごとの100㎡(30坪)あたりの足場工事なども含めた値段は以下の通りです。
金額一覧(目安)
・アクリル塗料:約40~60万円
・ウレタン塗料:約60~70万円
・シリコン塗料:約70~90万円
・ラジカル塗料:約85~95万円
・フッ素塗料:約90~120万円
・ガイナ塗料:約90〜110万円
上記の塗料に比べて、ガイナの場合は「90〜110万円」ほどかかります。
値段が同等のラジカル塗料やフッ素塗料などは耐久年数が長いことなどのメリットがありますが、断熱効果や防音効果などはありません。
一方のガイナは、断熱効果と防音効果はもちろん、耐久年数も長いので、外装工事などの予定が今後ないのであれば、長期的に考えた上でガイナを選ぶのがオススメと言えます。
外壁塗装で防音対策するメリット
外壁塗装で防音対策をするメリットを紹介します。
工事費用が安い
外壁塗装は外壁工事に比べて、工事費用を安く抑えることができます。
外壁工事をおこなう場合には防音対策として、吸音性のある素材などを壁や天井に敷く作業があります。大掛かりな作業となり、時間と手間がかかるのです。
それに比べて外壁塗装の場合は、外壁を塗装するだけで作業が終了するため、なるべくコストを抑えたいのであれば、外壁塗装で防音対策をすることがオススメです。
工事中でも室内で過ごすことが可能
壁の防音工事(内装)をおこなうには、室内の内装材を取り出してから新たに防音材を詰め直すという作業があります。そのため、工事中は室内で過ごすことができません。
しかし、外壁塗装であれば基本的に外で作業がおこなわれるので、事中であっても問題なく過ごすことができます。工事中に外出することも可能です。
外壁塗装で防音対策するデメリット
次に、外壁塗装で防音対策するデメリットも紹介します。
外壁塗料の中では費用が高い
外壁塗料で防音対策をおこなう場合、ガイナを使用します。
ガイナは防音効果だけではなく断熱効果もあるので、非常に優れているのですが、他の外壁塗料に比べて値段が高いのがデメリットです。
ウレタン塗料やシリコン塗料などと比較すると2倍ほど金額に差が出てしまうので、外壁のメンテナンスをメインとした場合には、あまりオススメできません。
マット仕上がりになる
外壁塗料の防音対策にはガイナ塗料を使いますが、艶がなくマット仕上がりとなります。
艶のあるピカピカな仕上がりの外壁には出来ないので、注意しましょう。
防音リフォームを依頼する上で注意すること
防音リフォームを依頼する上で注意する点を紹介します。
安さを重視してはいけない
防音リフォームに限らず、相場に比べて見積もり金額が圧倒的に安い場合には注意しましょう。悪徳業者である可能性が高いからです。
悪徳業者の場合は、質が悪い防音素材を使用するため、リフォーム終了後もリフォーム前と比べて防音効果が感じられないというケースが起こります。
また、契約内容の他にオプションとして追加費用がかかるということもあるので、目先の安さだけで判断しないようにしましょう。
業者選びには注意が必要
リフォームを依頼する時に「訪問販売」はもちろん「ハウスメーカー」から紹介された業者への依頼は注意が必要です。
ハウスメーカーからの紹介の場合、業者はハウスメーカーに紹介手数料を支払う必要があります。その紹介手数料というのはリフォーム費用に上乗せされることが多いので、通常の金額よりも高くなることがあるのです。
そのため、費用を少しでも抑えたいのであれば、口コミや評判を確認しながら、自宅近くの業者に依頼することをオススメします。
補助金を確認する
自分の住んでいる地域によっては自治体から補助金が支給されることがあります。
補助金が支給されるケースは以下の通りです。
・新幹線沿い住んでいる
・自衛隊基地の近くに住んでいる
・空港の近くに住んでいる
これらの場所は他と違い、日常的に大きな音が発生するので、法律によって防音工事にかかる費用が補助金で支給されるのです。
リフォームを依頼する前に、自分の住宅が補助金の対象になるかチェックしてみましょう。
まとめ
今回は外壁でできる防音対策や、防音リフォームを依頼するときの費用、注意点などを解説しました。
防音対策をすることで、今まで以上に快適でストレスフリーな生活を送ることができます。
しかし、防音対策にも様々な方法があるので、今回の記事を参考に、自分の住宅にあった方法で防音対策をしてみてはいかがでしょうか。