外壁を塗装する際、より長持ちし、より良い見栄えを考えるなら下塗り用の塗料の選別が必要です。
じつは、色むらや早期劣化を予防するために、下塗り塗料は無くてはならない工程で意外と重要な役割を担っています。
ここでは、そんな下塗り塗料についてご紹介していきます。
下塗り塗料の役割とは?
下塗り塗料とは、塗装をする際に「最終工程」や「中間の塗料」の前にあらかじめ塗るもので、色は「無色」や「白」です。
下塗り塗料には「外壁と上塗りをしっかりと密着させる役割」や、「上塗り材などが壁材に染みこむのを予防する役割」があります。
経年劣化した壁面にそのまま上塗りの仕上げ材を塗ってしまうと、色むらができたり、外壁と塗料が密着せず、キレイに塗れません。
また、無理やり塗っても、「2~3年」で剥がれる原因となり、無駄な塗装工事となってしまいます。
このように適切な外壁塗装工事を行うために、「下塗り作業」はとても重要な役割を担っています。
下塗り塗料の種類とそれぞれの特徴
下塗りには専用の塗料があります。また、下塗り塗料には多くのバリエーションがあり、住居の状況や外壁の素材によって各々に適切な下塗り塗料が使われます。
シーラー
シーラーには仕上げ材の塗料が下地に染みこむのを予防する働きがあります。また、塗料がぴったりと密着する機能も高まります。シーラーには無色や白などがありますが、塗装する色よりも接着力や抗浸透力といった機能性が優先されています。
また、シーラーには「水性」と「油性」があり、水性タイプのものは臭いが少なく、劣化が軽いケースに利用されます。油性タイプのものは臭いが強いですが、下地への吸い込みを抑える効果が高く、劣化が激しい箇所に使用されます。
また、乾燥する時間も水性タイプよりも短い特性を持っています。
浸透性シーラー
通常のシーラーでは外壁に染みこんでしまうような素材の場合、浸透性シーラーを活用します。
浸透性シーラーは壁の内側まで行き届き、外壁の強度を上げる下地強化塗料です。
プライマー
上記でご紹介した「シーラー」との差異に明らかな定義はなく、性質としてはシーラーと同じくぴったりと密着する働きを高めたり、下地への吸い込みを防止するための下地材です。
プライマーは大抵、鉄やステンレスなどの鉄部、金属下地に用いられ、サビ止めの成分が入っているものもあります。
一方で、サビを除去する働きはないため、サビが発生している箇所に塗布する際はサンドペーパーなどでしっかりとサビを落としてから塗布します。
フィーラー
「シーラー」や「プライマー」は粘土の低い、流れるような液体ですが、フィーラーはドロッとしていて、粉分の材質を含んだ塗料です。
外壁に小さな傷や凹凸がある際に、フィーラーを使用して塗装面を平らに塗りやすくする役割があります。また、外壁のひび割れが浮き出ないように覆う手段としても活用されます。
そのため、ひび割れが発生しやすいモルタルの壁などには補強作用のあるフィーラーが多く使われています。また、ドロッとした材質のため、外壁に模様や柄を施すために厚く塗ることもあります。
微弾性フィーラー
「シーラー」の外壁と塗料の密着度を高め、下地への吸い込みを防止する働きと、「フィーラー」の凹凸を平らにする働きの両方を併せ持っています。
また、弾性という名の通りゴムのように伸縮性があります。そのため、塗膜が外壁の動きに追従して伸縮するのでひび割れを予防する性質があります。
サーフェーサー
「シーラー」などの下塗り材と、最終工程の上塗り材の間に使用する中塗り用の塗料です。サーフェーサーは、下塗り塗料を微調整したり、密着性を向上させる役目があります。
例えば、下塗り材で凹凸を平らにできなかった場合でも、サーフェーサーを使うことで凹凸のない滑らかな下地面を作ることが可能です。
プライマーの性質も持ち併せて、最初からサーフェーサーが使用できる種類もあります。
パインダー
傷みや劣化の少ない外壁に使われる下塗り塗料です。新築の際に用いられることが多く、築年数が10年以上経っている場合は使われることはほとんどありません。
バインダーは染料や顔料を融合させる役目や、塗装面を保護する性質もあります。
最後に
下塗り塗料は、壁面に最初に塗るものです。そのため、下塗り塗料の材質や塗り方次第で、その次に塗る中塗りや最終工程の上塗りの効果や、長持ちする度合いが大きく左右されます。
下塗りに塗りムラがあったり、塗る量が適切でなかった場合、中塗りや上塗りが高価なものであったとしても、一番下の下塗りが剥がれやすいと中塗りも上塗りも剥がれやすくなります。
塗装工事の際の下塗りは、外壁の耐久性を長持ちさせるために欠かせない重要な作業です。
下塗りの塗り方や塗料はとても重要なので、しっかりと選別して選んでいきましょう。