日本の住宅ではあまり馴染みが少ないですが、高級感あるオシャレな外壁材「レンガ張り」。
このレンガ張りの外壁材はその見栄えだけではなく、さまざまメリットがあるため、新しくレンガ張りにリフォームをお考えの方も少なくはありません。
ですが、このレンガ張りにもデメリットもありますし、実際どうなのか気になるところです。
今回は、レンガ張りのメリットやデメリット、レンガ張りの工法についてなど合わせてご紹介します。
外壁がレンガ張りのメリット、デメリット
メリット
メンテナンスコストが低い
一般的な住宅は、経年劣化により外観の傷みやひび割れなどが出てきてしまいます。そうなると、外壁の塗り替えや張替えなどで定期的に大きなコストがかかってしまいます。
一方でレンガ張りの外壁であれば、多少の補修程度でほとんどメンテナンスの必要がありません。
塗装などのリフォームを行う必要が無く「40~50年」持つため、メンテナンスコストがかなり低い外壁材となります。
高級感あるデザイン性
レンガ張りの外観は、北欧的な雰囲気を感じる印象を持ち、モルタル壁やサイディング壁と比較すると高級感がある建物に見えます。
また、年数が経過しても劣化や汚れが目立ちにくいため、「長期的にそのままの美観を保てます」し、経年劣化により変化しても、それはむしろ「加齢による美しき変化」と考える方もいるようです。
耐熱性能、蓄熱性能に優れる
レンガは「耐熱性能」と「蓄熱性能」を持っており、熱が伝わりに難く、蓄えた熱を放出しにくいといった特徴があります。外気温の変化に左右されず温度を一定に保つ特徴があるため、古くからある倉庫などにレンガが使われていることがあるのもそのためです。
レンガの耐熱性能と蓄熱性能の理由としては、レンガに無数の小さな気泡が開いており、その気泡で外気の湿度調整を行っていることが挙げられます。
デメリット
導入コストがかかる
外壁材をレンガ張りにする最大のデメリットは、一般的な住宅と比較すると導入コスト(施工費用)がかかる点です。
多くのレンガが海外からの輸入になるため、輸入の経験が豊富なバイヤーでなければ材料の仕入れコストがかかってしまいます。
施工業者が見つかりにくい
また、施工業者が見つかりにくく急なメンテナンスが必要になった場合など遠方の業者であれば対応が遅くなってしまうことも考えられます。
工期が長くなる
一般的なリフォームで多いのがサイディング壁を外壁に貼り付けて行う工事です。
工期は、数日で仕上がり短期間で完了します。
ですがレンガ張りの場合は、レンガを一個づつ積み重ねながらモルタルで仕上げる工法になるため、手間や乾かしなども含め工事期間が長くなってしまう傾向にあります。
夏場は暑くなる
メリットであるはずの蓄熱性がデメリットになる場合もあります。
それは、夏場など日中の気温が上がる季節には、日中溜め込んだ熱が夜間になっても下がらないといった現象が起こります。
このため室内の熱を逃がす通気やエアコンなどの稼働を上げるなど工夫が必要になります。
「レンガ張り」リフォームの工法の種類
レンガ張りの工法として、レンガを「積み上げる方法」と、レンガを「貼り付ける方法」があります。
レンガを積み上げる方法で建築された建物には、東京駅や横浜赤レンガ倉庫など重要文化財などの建物に多く採用されている工法です。特徴としては、昔からある伝統的な工法で、構造的に耐久性が高い点が挙げられます。
レンガを貼り付ける工法は「スライスレンガ(加工されたレンガ)」が使用されます。こちらの特徴として、レンガ積みほど重さがないため、住宅に負担をかけることが少なく、耐震性の問題が少ないです。そのため、貼り付け工法は一般住宅に採用される場合が多いです。
それぞれで「湿式工法」、「乾式工法」の2種類の工法があります。
レンガ積み
湿式工法
レンガ積みの「湿式工法」とは、モルタルを塗りながらレンガを積み上げていく工法です。
しかし、そのままレンガを積み上げていくと既存の外壁に負担がかかってしまうため、既存の外壁との間に空間を作りながら外壁を積み上げていくような方法を採っています。
乾式工法
一方、「乾式工法」はモルタルを使用せずに接着剤や鋼管などを利用して組み合わせていく工法です。
スライスレンガ
湿式工法
スライスレンガの「湿式工法」とは、モルタルを下地に塗りスライスレンガを外壁に埋め込んでいく工法になります。「乾式工法」と違いレールを利用しないため、自由度が高いデザインに仕上げることができます。
乾式工法
一方で、「乾式工法」ですが、下地にレールを取り付けその上にスライスレンガをはめ込んでいく工法になります。はめ込んだ隙間にモルタルを流し固定していきます。レールに沿った整理された見た目になります。
費用を抑えたレンガ調リフォームとは?
本物のレンガを使用した外壁リフォームは、コストが多くかかってしまいます。
そのため予算が少し厳しいとなった場合は、レンガ調のタイルやサイディングボードで似た感じに仕上げる事も可能です。
レンガ調タイル
レンガ調タイルの工法は、レンガ積みやスライスレンガと同じように湿式工法、乾式工法があります。レンガ調タイルの湿式工法は、本物のレンガと違い軽くて丈夫にできているため比較的簡単に施工が可能です。
一方で、乾式工法はサイディングボードに似ている工法になります。接着剤を利用して壁に貼り付けていく工法になります。
本物のレンガではないですが、質の高い材料を使用することで本物と見間違うほどの出来にすることも可能です。
レンガ調サイディング
レンガ調タイルよりもさらに予算を下げてレンガ風の建物にしたいといった場合には、レンガ模様のサイディングボードを検討しましょう。
とくに窯業系のサイディングボードでは、近しいデザインのものが多数販売されています。
ただ、窯業サイディングでは境目にシーリング剤を使用するため多少目立ちます。そのため、できるだけ近い色で仕上げるのがコツとなります。
タイル調塗装
もともとがレンガ調やタイル調のサイディング壁限定となりますが、「コストは最小限に抑えて、タイル調デザインを残したい」という方のリフォーム方法があります。
通常の塗装を行うと、外壁の色は一色になってしまうのが基本です。
しかし色分け塗装を行う事で、塗装を行っても一色だけにならず、タイル調デザインを残すことができます。
「タイル柄工法」と呼ばれる外壁塗装で、既存のタイル調サイディングボードの「平部」と「目地部」を塗り分けて仕上げていきます。
注意点として、張り替えるよりは安いですが、通常の塗装と比べると、それなりに費用がかかります。
最後に
レンガ張りのリフォームは、予算や好みによって施工方法が異なります。
レンガ積みなどの工法では本格的なレンガ造りの住宅を楽しめますが、その分費用も多くかかってしまいます。
代わりにレンガ調サイディングやレンガ調塗装など低予算で仕上げることも可能です。
それぞれのメリットやデメリットを踏まえながら、レンガ張りのリフォームを検討してみましょう。