外壁塗装を行う目的として、一番に思い浮かべることは「外壁の見た目をキレイにする」だと思います。
美観を取り戻すことも目的の一つですが、外壁塗装を行う目的は他にもあります。
ここでは外壁塗装を行う目的や、外壁塗装で得られる効果について解説していきます。
外壁塗装を行う目的とは
外壁塗装を何となく行っている方も多いかもしれません。
しかし外壁塗装にはしっかりとした目的があります。
美観を保つため
外壁は年数が経過するにつれ、「汚れ」、「コケの付着」、「カビ」、「藻」が発生して見た目が悪くなってしまいます。
それらを高圧洗浄ですべてキレイに洗い流してから、外壁塗装を行うことによって、新築時のような美観を取り戻すことが出来ます。
外壁材を守るため
外壁の塗膜は「雨、風、紫外線」などに年中晒されているため、年数の経過とともに表面が劣化し機能が衰えてしまいます。
塗膜による防水機能が無くなると、外壁材自体が劣化していってしまいます。
そうなってしまうと、「雨漏り」だけでなく、「外壁材のひび割れ」「外壁材の剥がれ・剥離」「カビや藻の発生」などに繋がります。
さらにこの状態が続いた場合の最悪な状況は、「内部の躯体(木材)の腐り」、「シロアリ被害」など、被害が大きくなってしまいます。
これらの状況を防ぐ為にも外壁塗装を行う必要があるのです。
外壁塗装で得られる効果
次に外壁塗装で得られる効果について紹介します。
意匠性
外壁塗装を行うことで美観を保つことが出来ると紹介しましたが、保つだけではありません。
塗装の際に色を変えたり、アクセント入りにすることで意匠性を上げることも出来ます。
様々な特殊機能
使用する塗料によっては様々な特殊効果を得ることも出来ます。
代表的なのが「遮熱機能」です。遮熱塗料を使用することで、熱の吸収を遮ることが出来ます。
他にも汚れが付き辛くなる「防汚機能」、サビが発生を予防する「防サビ機能」などがあります。
各メーカーでさまざまな塗料が開発されているので確認していくと良いでしょう。
もちろん、耐久性やその他の効果がある塗料では「材料単価」も上がっていきますので、予算を考えて選んでいくことが大事です。
外壁塗装を行うサインとは
外壁塗装メンテナンスは一般的に「10年サイクル」と言われています。それには理由があり、塗膜が劣化して機能を失うタイミングが10年ほどだからです。
しかし、使用する塗料によっては10年以上機能を維持できたり、反対に8年ほどで機能を失ってしまうことがあります。
その為、様々な方法で塗膜が劣化していないか確認する必要があります。
色褪せや変色
塗膜の劣化症状として最初に発生するのが「色褪せや変色」です。色褪せや変色は塗料に含まれている顔料が劣化している初期症状です。
塗装後の塗膜には、艶がありますが、まずこの艶がなくなった後に色褪せや変色が目立つようになります。
この症状は、艶のある美観から色褪せた美観に変わるため、すぐに判断つくでしょう。
チョーキング現象(白亜化)
紫外線、熱、水分などにより塗膜が分解され、塗料の顔料がチョークのように粉化します。
この状態は塗膜が劣化したというサインです。
外壁を手で触ると真っ白になってしまう場合は、チョーキング現象が進んでいる証拠です。
塗膜の剥がれや浮き
外壁がペリペリと剥がれたり、ぷっくりと浮いているのを見かけたことはありませんでしょうか。
それらは外壁が水分を含んで放出する際などに、塗膜が耐え切れずに起こってしまう現象です。粘着力が衰えているサインですので、塗装を行うサインでもあります。
クラックやひび割れ
ひび割れはモルタル外壁によく起こる現象です。
揺れなどに対して耐え切れず発生してしまいます。
そこから雨水が浸入することもある為、塗装を行う必要があります。
コーキングの劣化
コーキングはサイディング同士の繋ぎ目などに使用されている充填材です。
長年使用することで硬化し、弾力を失いひび割れなどを起こしてしまいます。
そこから雨水が浸入することもある為、打ち変えや塗装を行う必要があります。
外壁材の劣化
窯業系サイディングなどの外壁材は、塗膜によって防水性能を保持していますが、その塗膜が劣化することでサイディングなどの外壁材が水分を吸収してしまいます。
吸収された水分は自然乾燥によって乾きますが、水分の吸収と乾燥を繰り返すことで外壁材の反りやひび割れが発生します。
この反りやひび割れは外壁材自体の強度の低下や劣化にもつながります。
またサイディングの下地として使用されている胴縁などが腐食することで、サイディングが固定されずに反りが発生するという悪循環にも発展してしまいます。
外壁塗装で注意したいこと
外壁塗装の注意点として、すでに悪くなってしまったもの(劣化状況が酷い・腐ってしまった・雨漏りしている)は、改善することができません。
塗装はあくまで、「これ以上悪くならないようにする為の工事」であり外壁材・木部鉄部の状態が良好でなければ効果を発揮しません。
下地の状態が酷い場合には、外壁塗装を行う前に「下地の交換やサイディング工事」などを行っていく必要があります。
雨漏りの場合には、塗装や防水(コーキング)を行うことで、一時的に止まることはありますが、根本的な解決にはなりません。
それらを理解したうえで外壁塗装を行いましょう。
外壁塗装をしないことの危険性
外壁塗装をしないことの危険性は、雨漏りや建物構造体の劣化、シロアリの発生など重大な劣化に発展することです。ここでは外壁塗装をしないことの危険性について紹介していきます。
雨漏り
メンテナンスぜず防水性能が低下した外壁材には反りやひび割れが発生しやすく、その隙間から雨水が侵入してしまいます。
またサイディング同士のジョイントやサッシなどの開口部まわりにはコーキングが充填されています。外壁塗装をしないことでコーキングが劣化し、ひび割れや剥がれに発展することがあります。
外壁のひび割れや、劣化したコーキング部分から雨水が侵入することで、最悪は雨漏りに発展することもあります。
張替え
外壁塗装によるメンテナンスを怠ってしまった結果、塗装では対応できないほどの劣化や腐食が進行してしまうことがあります。
防水機能の低下した壁面は「雨水を吸い込み、ひび割れ・反り」など発生しますが、放置しすぎると張替えが必要となります。また下地となる「胴縁やベニヤの腐食」は塗装だけでは補修や復旧することができません。
張替えは傷んでしまったサイディング材の解体や撤去費用なども必要になるため、外壁塗装に比べると費用が高額になります。
建物構造体の劣化
長期に渡って外壁材の内側に雨水がまわり、透湿シートを破損させてしまった場合は、サイディング材や下地の胴縁だけでなく建物の構造体の劣化や腐食につながる危険性が高くなります。
建物の構造体が劣化してしまった場合には、部分的な補修や取り換えなどが必要になるため大規模な修繕工事に発展する可能性があります。
シロアリの発生
雨漏りによる長期に渡る湿気は、さらにシロアリ被害へと発展することがあります。
シロアリ被害を受けてしまった木材は強度や耐力がなくなるため、安全な建物を保持するためには取り換えや補強などの対策が必要です。またシロアリの駆除や防止するための薬剤散布なども必要になります。
外壁塗装の種類と塗り替え時期
外壁塗装を行う時期は一般的に10年サイクルといわれています。しかし、外壁材の種類や使用する塗料によって塗り替え時期が異なります。ここでは外壁材や塗料の種類による塗り替え時期について紹介していきます。
外壁材別
外壁材の種類によって塗装時期が変わります。
モルタル
外壁材にモルタルが使用されている場合の塗装時期は10年から15年前後です。
モルタル外壁には「リシン吹付仕上げやスタッコ」などの塗装仕上げが施されています。モルタルだけでは、雨などの水分を吸い込んでしまうため塗膜による防水性能が必要になります。
またモルタル外壁はクラックなどのひび割れが発生しやすいため、塗装時期に関わらずクラックの発生がある場合には、部分補修もそうですが外壁塗装を検討したほうが良いでしょう。
ALC壁
ALC壁の塗装時期は10年から15年前後です。
ALC壁自体には防水性能がないため、塗膜による防水性能が必要になります。またALC壁は構造上、パネル同士の隙間をコーキングで充填します。
コーキングの施工箇所がほかの外壁材に比べて多くなるためコーキング材の劣化によるひび割れには注意が必要です。塗膜が固くなる塗料を使用した場合には、コーキングの収縮に対応できずに塗膜がひび割れてしまうこともあります。
コーキングは紫外線などによって硬化、ひび割れなどの劣化が進行しやすくなるため、塗装時期を早めるなどの対策が必要になります。
窯業サイディング
窯業サイディングの塗装時期は10年から12年前後です。
窯業サイディングは出荷時にすでに塗膜による防水性能が付与されています。窯業サイディングの中には、メーカーによる30年の塗膜保証が付けられたサイディングもありますが、一般的なサイディングの場合には10年前後で塗装を検討したほうが良いでしょう。
金属サイディング
金属サイディングの塗装時期は20年前後です。
金属サイディングに使用されるガルバリウム鋼板は、アルミニウムや亜鉛めっきなどが含まれているためサビにくい特徴があります。塗り替えなどを行った場合には、使用する塗料の耐用年数に影響されますが、新しい金属サイディングの場合には20年経っても錆びが発生しないこともあります。
トタン壁
トタン壁の塗装時期は10年前後です。
現在では新しい外壁材としてトタン壁に変わって、耐久性の高いガルバリウム鋼板が広く普及していますが、費用を抑えるためにトタン壁を使用することもあります。
ですが、トタン壁は錆びやすいため、メンテナンスコストがとてもかかります。
塗料別
塗料によっても次回の塗装時期が変わります。
ウレタン塗料
ウレタン塗料の塗装時期は8年から10年前後です。
以前は塗り替え塗料の主流として使用されていたこともあります。ウレタン樹脂を含んだ塗料で密着性の高さなどを活かした鉄部の塗装などで使用されることが多いです。
シリコン塗料
シリコン塗料の塗装時期は10年から13年前後です。
現在では住宅の塗り替え塗料の主流となっています。シリコン樹脂を含んだ塗料で価格と耐用年数のバランスに優れています。モルタルの塗り替えでは水性のシリコン塗料を使用することも増えています。
ラジカル塗料
ラジカル塗料の塗装時期は13年から15年前後です。
塗り替え塗料の中では比較的に新しいタイプの塗料です。ラジカル塗料は塗膜に発生する劣化因子を抑える機能を付与した塗料です。価格が低く耐用年数がシリコン塗料よりも長いため、シリコン塗料に代わって主流になる可能性のある塗料です。
フッ素塗料
フッ素塗料の塗装時期は15年から20年前後です。
塗り替え塗料の中でも耐用年数の長い高機能塗料です。フッ素樹脂を含んだ塗料で塗膜が固くなる特徴があるため耐摩耗性に優れています。ただし、塗り替え塗料の中では価格が高く、施工実績も少ないため経験豊富な業者を探す必要があります。
無機塗料
無機塗料の塗装時期は25年前後です。塗り替え塗料の中で耐用年数が最も長い塗料です。
無機塗料は紫外線などによる影響を受けない無機質を含んだ塗料です。ただし、無機質だけでは塗料として使用することができないため、有機質と無機質を混合して開発されています。
有機質の種類によって耐用年数や性能が影響されるため、無機塗料を使用する際には含まれる成分に注意が必要です。またフッ素塗料以上に高額な価格と施工実績が豊富な業者を探すことが難しくなります。
まとめ
外壁塗装の目的を美観の問題だけで考えてしまっていると、外壁材の劣化に気が付かず、思わぬ出費やお家の寿命を縮める原因になります。
近年では、高価な外壁材にタイル壁・金属サイディング壁など高耐久な材料が普及していますが、この外壁材もタイルのひび割れ、金属の錆びなど必ずメンテナンスは必要となってきます。
外壁塗装の正しい目的と効果についての知識を知っておくことは非常に大切であり、メンテナンスを定期的にしっかり行っていく事が、お家の寿命を長持ちさせることに繋がってきます。