3F建て住宅は土地の有効活用ができ、特に敷地に限りがある市街地に住宅を建てる場合、3F建てにすることによって、居住空間を広くとれるメリットがあります。
しかし、土地の活用ではメリットのある3F建てですが、メンテナンスを行う場合にはそれがデメリットとなります。
そのデメリットとは、平屋はもちろん2F建てと比較して「外壁塗装が少し割高」となってしまうという点です。ですが、なぜ「割高」となってしまうのか?疑問を持たれる方も多いと思います。
そこで、ここでは3F建ての塗装が「割高になるその理由」と「費用相場の目安」について解説していきます。
3F建ての外壁塗装が割高な理由
足場代がかかる
足場代は業者によって価格の基準が違いますが、3F建てになると1㎡当たりの単価が「100~200円」上がるケースがあります。
その場合の足場代は、総額で「約3~5万円」上がることになります。
2F建てと比較して「高所作業」であり、部材を3F部までに上げるのに「手間や時間」を要するためです。仮に「2F建て」と「3F建て」の足場を設置する総面積が同じでも「3F建て」の方が割高となってしまうのです。
塗装作業に手間がかかる
塗装作業も仮設足場同様に「高所作業」であり、「上り下り」を繰り返すため「手間や工期(時間)」がかかりやすいです。
工程として、「高圧洗浄」、「養生」、「塗装作業」、「コーキング工事」を行っていきますが、材料を持って3F部まで「上り下り」しての作業は、なかなか大変です。
ですが、人数を入れて、3~4人で各階に一人づつ作業を行い、段取り良く行う事で「費用差をなくす」工夫もできます。
敷地が狭い
3F建ての、とくに「建て売り物件」では、土地の有効活用を目的としているため、隣家との間隔が狭いケースが多いです。
その場合、作業効率が悪いため工期がかかり、費用が割高になるケースがあります。隣家に汚れや塗料が飛散しないように、気も使わなくてはいけません。
敷地が狭いと割高になりやすいのは、2F建てでも同様ですが、都心部の3F建てがとくに当てはまるケースが多いでしょう。
劣化が早い
3F建ての特徴として、縦長の長方形で建てられているケースが多くあります。
そのため、「屋根の軒などが短く設計」されていることが多く、その分だけ「外壁に雨が当たりやすく」、2F建てよりも「傷みが早い」とも言えます。
また、高さがあると地震などの際に負荷を受けやすく、「外壁にヒビなどが入る」可能性も高くなります。それらの補修費用がプラスでかかることもあり、費用が割高になるケースがあります。
外壁塗装「3F建て」の費用ってどれくらい?
塗り替え費用は、「塗り面積」+「仮設足場」+「付帯部塗装」の合計で費用が算出されます。
そのほか、使用する「塗料の種類」、「コーキング工事の有無」によって、費用も異なります。
参考価格表:シリコン塗料使用の場合
建坪(塗り面積) | 塗り面積価格 | 仮設足場 | 付帯部塗装 | 合計 |
30坪(128㎡) | 57.6万円 | 16万円 | 10万円 | 83.6万円 |
40坪(156㎡) | 73.3万円 | 20万円 | 12万円 | 102.2万円 |
塗装方法によって値段は変わりますが、一般的なローラー仕上げは「約4500円/㎡」の相場価格となっています。
※上記の単価では、「外壁3回塗り、高圧洗浄、下地調整、各種養生、現場管理」の費用も含まれています。
3F建ては塗装の回数を減らそう
外壁塗装の場合は、その都度「足場代」がかかり、しかも総費用の中でも大きなウエイトを占めています。とくに3F建ては、2F建てと比較して、「足場代」や「塗装費用」が割高になりやすいです。
そのため、足場代や塗装費用を節約するためには、「塗装回数」を減らすことが重要となります。
ココがポイント
塗装回数を減らすためには、「耐久性の低い塗料」ではなく、「耐久性の高い塗料」を選んで使用していく必要があります。
例えば30年間のうち、耐久性の低い塗料で「8年×4回」よりも、耐久性の高い塗料「15年×2回」で塗装を行った方が確実にコスト削減に繋がります。
<約30年目安>
塗料の種類 | 耐久年数 | 塗装回数 | 年数 |
アクリル | 8年 | 4回 | 32年 |
シリコン | 12年 | 2.5回 | 30年 |
フッ素 | 15年 | 2回 | 30年 |
塗料のグレードとしては、「フッ素塗料」や「無機塗料」などを選択していくと良いでしょう。
耐久性の高い塗料は、1回の塗装価格は高くなりますが、その分何度も塗り替えを行う必要がなくなります。
ただ、フッ素以上は高価なので、なかなか選びづらい方も多いと思います。その場合は「アクリルやウレタン」を避けて、最低でも「シリコン」以上のグレードを選んでいきましょう。
3F建ては屋根や雨樋のメンテナンスも一緒に行う
塗装回数を減らすこと以外にも外壁以外の箇所にも目を配る必要があります。とくに屋根や付帯部分など足場が無いと作業が出来ない箇所となります。
屋根や屋上防水の補修
3階建て外壁塗装を行う際には、屋根や屋上防水の補修を同時に行いましょう。
一般的な2階建てと異なり、3階建ての屋根や屋上防水の状態は通常では確認することが難しいです。また、外壁塗装を行う際に同時に屋根塗装や屋上防水の補修をすることで費用を抑えることにつながります。
雨どいの補修
屋根や屋上防水と同様に、3階建て外壁塗装を行う際には雨どいの点検や補修を同時に行いましょう。
雨樋は紫外線による劣化で割れやすく、雪の影響で歪みが生じるため、単体で修理が必要になってしまうケースが多いです。しかし、単体で足場を組んで修理となると足場費用が高くついてしまうので、必要であれば一緒の修理が推奨されるのです。
一般的な雨どいは外壁塗装などと同様に再塗装することで耐久性を確保することができます。点検して割れ等あれば、補修や交換も一緒に行っておくと良いでしょう。
塗装業者の選び方
点検に時間をかけてくれる業者
3階建ての外壁塗装をする際には、事前に行う点検に時間をしっかりとかけてくれる業者を選びましょう。屋根や屋上防水など普段見えない部分もしっかり点検することで、足場を設置した後の追加工事や劣化の見落としなどを避けることができます。
また、時間をかけて調べる業者ほど、状況に劣化状況に応じた的確な提案を行ってくれることも多いです。
丁寧な作業をしてくる業者を探す
上記でも説明してきましたが、3F建ては、2F建てと比較して外壁塗装の費用が割高となります。そのため、少しでも「耐久性」を長くして、「塗装回数」を減らすことがポイントです。
「塗装回数」を減らすために、「耐久性の高い塗料」の選定も必要ですが、じつは「施工業者」の選定も重要となってきます。
耐久性を良くするためには、「丁寧な施工」が必要です。高圧洗浄や下地調整、塗装作業で、手を抜かれてしまうと数年で「剥離」、「ひび割れ」の原因となってしまうからです。
せっかく高耐久の塗料を使用しても施工が悪いと、意味がなくなってしまいます。塗装の効果をしっかりと生かすためにも、施工保証などもしっかりとしている、優良業者を探して選んでいきましょう。
見積もりを比較する
施工業者も数多くいますが、それぞれ塗装費用が違うため選ぶ際は注意が必要です。相場よりも高い業者もいますし、安い業者もいます。
できれば、ちょうど中間くらいを選ぶのが、実は無難なことも多いです。下記のようなケースがありますので、必ず比較して検討していくとをおすすめします。
相場よりも高い場合
相場よりも高い場合、下記のどれかが該当します。
- 単純に利益を多くとっている
- 中間マージンが発生している
訪問販売や大手施工店やリフォーム専門の会社では、費用が割高になりやすいので注意が必要です。
このような業者の中から、一社で決めると損をしてしまう可能性が高いです。
焦らずに、複数社で比較していくことをおすすめします。
相場よりも安い場合
相場よりも安い場合、下記のどちらかが該当します。
- 手抜き工事で費用を抑えている
- 追加工事が発生する
相場よりも安い場合に多いのが、①の「手抜き工事」です。
「塗料を薄めて」使用したり、「下地調整、養生、塗装作業」で手抜き工事を行い、工期を短くすることで経費を抑え、安くしていることもあるので注意が必要です。
②に関しては、お見積り内容が「1式」表記が多く、どこまでの工事内容が不明確で、後から追加工事が発生してしまうパターンもあります。
このようなトラブルを防ぐためにも、何社かにお見積りを依頼して比較していく必要があります。
工事中に写真や作業報告
外壁塗装の施工状況は工程が進むと確認することが難しくなります。工事中の施工写真や作業報告を丁寧に行ってくれる業者を選びましょう。
最終的な仕上がりがきれいに見えても適切な工程で作業を行っていない場合には、塗料本来の性能や耐久性を得ることができません。
そのため、作業報告は手抜き工事をされないためにとても大事なものとなります。
アフターフォローやメーカー保証の有無
外壁塗装の不具合などは、施工直後に発見されることはあまりありません。数年が経過した頃にひび割れや色褪せなどの不具合が生じる可能性があります。
施工後も定期的なアフターフォローや塗膜の色褪せに関するメーカー保証などがある業者を選びが大事です。
最後に
3F建ての外壁塗装は、2F建てよりも「足場や塗装作業」に手間がかかるため費用が少し割高となります。そのため、少しでも将来的にコストを抑えるためにも「高耐久塗料」を選んで使用していくことがおすすめです。
塗装回数を減らすことで、外壁塗装にかかる費用が総合的に削減できる可能性がありますので、将来的なランニングコストを計算してみましょう。
また、高耐久塗料の選定もそうですが施工業者が悪いと、いくら良い塗料を使用してもその効果が薄れてしまうため「施工業者の選定」もしっかりと行っていきましょう。