外壁塗装で使用する塗料の中に「透湿性」の機能がある塗料があることをご存知でしょうか。
この透湿性塗料は、塗装を行う外壁材の状況によって、とても重要な役割を果たします。しかし、あまり知られていないため、とくに気にせず塗料を選んでしまう方も少なくありません。
そのような状況を防ぐために、透湿性塗料の役割について把握しておいた方が良いでしょう。そこで今回は、塗料の機能性のひとつである「透湿性を持った塗料」について解説していきます。
透湿性塗料とは
透湿性塗料とは、壁内部に溜まりやすい「湿気」を逃がしやすくする塗料です。液体である雨と気体である湿気の分子の大きさの違いを利用して、雨は通さずに湿気だけを通す性質を持たせています。
外壁塗装では透湿性の低い塗料を使用した場合は湿気の逃げ道を塞いでしまうため、塗膜の浮きや膨れが起きてしまう可能性がでてきます。
ですが、この透湿性塗料を使用した場合、塗装後も壁内部の湿気を逃がしやすい性能が期待できます。もちろん、すべての湿気を通すという完璧なものではありませんが、湿気が出やすい環境の外壁にとっては塗膜の浮きや膨れの防止対策に繋がります。
透湿性塗料を使った方が良い外壁材
外壁塗装で使用する塗料は、建物の構造や外壁材に合わせて選択することが重要です。ここでは、透湿性塗料を使った方が良い外壁材について解説していきます。
直貼りサイディング外壁
サイディング外壁には、「直張りサイディング」と「通気工法のサイディング」があります。
通気工法のサイディングであれば問題ないのですが、直張りサイディングの場合は内部に通気層が設けられていません。そのため、透湿性の低い塗料で壁面を塞いでしまうと、湿気の逃げ道が無くなり、膨れの原因となります。
この直貼りサイディングの場合は、透湿性塗料を選んで塗装を行っていくことが必要不可欠です。
モルタル外壁
モルタル外壁もほとんどが、直貼り仕上げとなっています。木摺り(きずり)や構造用合板の上に防水紙を張り、その上にラス網があり、モルタルを塗り、吹付仕上げ材でできおり、通気する空間がありません。
そのため、透湿性の低い塗料で壁面を塞いでしまうと、湿気などの逃げ道が無くなり、膨れなどの原因となりやすいのです。またモルタルは水分を含みやすく、劣化などで雨水が入り込み吸収したまま塗装を行ってしまうと、膨れがよくでてきます。
このようなことから、劣化したモルタル壁(直貼り)の塗装には透湿性塗料を使用した方が良いでしょう。
おすすめの透湿性塗料
ここでは、塗料のグレード別「①ウレタン、②シリコン、③フッ素」の順に透湿性のある塗料を紹介します。
①日本ペイント:水性ファインウレタン
水性ファインウレタンは、サイディングやモルタル外壁などに塗装することが可能な水性の透湿性塗料です。
塗料のグレードに関わる樹脂はウレタンで平米あたりの単価は「1,800円~2,500円程度」です。また耐用年数は「7年~10年前後」で、現在主流のシリコン樹脂の塗料に比べると少し短くなります。
②エスケー化研:クリーンマイルドシリコン
クリーンマイルドシリコンは、サイディング外壁やモルタル壁をはじめ適用下地の広い弱溶剤の透湿性塗料です。クリーンマイルドシリーズは「ウレタン、フッ素」もそれぞれグレードがあり、こちらもおすすめです。
塗料のグレードに関わる樹脂はシリコンで平米あたりの単価は「2,300円~3,000円程度」です。また主剤と硬化剤を混ぜた使用する2液型の塗料です。耐用年数は「12年~15年前後」で、現在はこのシリコン樹脂塗料が主流となっています。
③日本ペイント:ファイン4Fセラミック
ファイン4Fセラミックは、サイディング外壁やモルタル外壁をはじめ適用下地の広い弱溶剤の透湿性塗料です。
塗料のグレードに関わる樹脂はフッ素で、2液型の高級グレードに位置付けられています。
平米あたりの単価は「4,000円前後」でウレタンやシリコン樹脂の塗料に比べるとかなり高額になります。耐用年数は「15年~20年程度」と長く平米あたりの単価や工事費用は高額になりますが、塗り替え回数を抑えることができるためトータルのコストを下げることができます。
まとめ
透湿性塗料とは、雨などの液体を通さず湿気を通す機能を付与した塗料で、現在の高気密住宅に必要な性能を持った塗料とも言えます。
とくに、直貼りの劣化したサイディング、モルタル壁の塗装には必要な塗料となっています。そのほか、グレートの種類もしっかりと選べますので、外壁塗装を検討する際には透湿性を考慮した塗料の選択をしていきましょう。