一般的な塗装には、機能面・耐久面にすぐれる「合成樹脂を原料」とする塗料が使われています。
しかし近年、シックハウス症候群や化学物質過敏症など、化学物質に反応して起こるアレルギーなどの健康被害が指摘されています。
家は何よりも安心して住めることが重要です。そこで注目されているのが、天然素材を原料とする「自然塗料」です。
しかし自然塗料にもさまざまな種類があり、どれを選べばよいのでしょうか?
ここでは、自然塗料の種類やメリット・デメリットについてご紹介していきます。
自然塗料にはどのような種類がある?
自然塗料は主に、木目を美しく保つために使われる塗料です。
主に、屋内用や木部の塗装を行う際に使用されています。
そしてその種類は、3つに分けられます。
オイルタイプ
オイルタイプは、原料にアマニ油やひまわり油、植物の種などから抽出した天然油脂が使われおり、木材に深く染み込んで木の質感を残しながら保護するのが特徴です。
ワニスタイプ
ワニスタイプは、セラックやダンマル、コパール、ロジンなどの植物や昆虫の分泌液などから精製した天然樹脂が主な原料です。
木材の表面をコーティングして保護するのが特徴で、耐水性能に優れています。
ワックスタイプ
ワックスタイプは、蜜ロウやカルバナロウ、イボタロウ、木ロウなどのロウが主原料です。
単独で用いられることは少なく、オイルタイプやワニスタイプを塗った後の補助膜として使われるのが一般的です。
自然塗料のメリット
自然塗料のメリットは、木目の美しさを生かした温かみのある仕上がりです。
また、時間がたつとより深みのある風合いに変化するので、暮らすほどに住まいに愛着が湧くのも魅力です。
そして天然成分が主原料であるため、人に与える影響が少なく、「安全性が高い」のもメリットです。
自然塗料のデメリット
自然塗料でもすべてが安全ではない?
自然塗料のメリットは安全性の高さと説明しましたが、すべての自然塗料が安全であるわけでありません。
アレルギー反応は人によってさまざまです。このため自然塗料であっても、「アレルギー反応」が出る人もいます。
またAという自然塗料ではアレルギー反応が出ないのに、Bという自然塗料では反応が出る人もいますし、化学物質を主原料として塗料でもアレルギー反応が出ないこともあります。
自然塗料であってもアレルギー反応が出る可能性があることを、頭に入れておきましょう。
値段が割高で耐久性が低い?
化学塗料に比べて、値段が高いのもデメリットです。
また、乾燥するのに時間がかかる、化学塗料よりも耐久性が低いという弱点もあります。
自然塗料の選び方
化学物質を主原料とするものから自然塗料まで、さまざまなメーカーが数多くの塗料を販売しています。
化学系の塗料よりも自然塗料の方が優秀とは限りませんし、それぞれの製品には長所と短所があります。
塗料選びで重要なのは、用いる場所に適した製品を選ぶことです。
このため、それぞれの製品の特徴、メリットとデメリットを理解して比較検討して選ぶ必要があります。
また、ハウスシック症候群などアレルギーが気になる方が自然塗料を検討する場合、自然塗料であればどれでもいいと思い込まないことが大切です。
天然由来の原料のみしか使わなくない自然塗料であっても、アレルギー反応が起こる人もいるからです。
このため、事前に塗料を一部だけ試し塗りする、臭いを嗅ぐなどして、アレルギーテストをしてから選びましょう。
最後に
自然塗料はアレルギー対策などで注目されている塗料で、外壁ではなく「屋内用」の塗装に使われるのが一般的です。
日本でも開発されていますが、環境先進国といわれるドイツの塗料が有名で、種類も豊富です。
適材適所をよく考えて、安全面やコストも十分に考慮しながら、最適な塗料を選びましょう。