建物の美観を高める役割と同時に、外観そのものを劣化から守ってくれるという大切な役割がある外壁塗装ですが、この塗装方法には手塗りと吹き付けがあります。
専用のローラーや刷毛を使用して手作業で行う塗装方法が「手塗り塗装」で、塗料を専用の器具で霧状にして吹き付けて仕上げる塗装方法が「吹き付け塗装」となります。
手塗りでも吹き付けでも、どちらにしても形成される塗膜の性能には大きな違いがありませんがそれぞれにメリットとデメリットがありますので、その点についてここで解説していきます。
手塗りによる外壁塗装
手塗り塗装では、「ローラー」と「刷毛」を使用して作業が行われます。
転がしながら塗装していくローラーと、広い筆のような刷毛の2つの道具を使って外壁を塗装していきます。
広範囲の塗装にはローラーが使用され、細部の細かい箇所には刷毛を使用して仕上げていきます。
手塗り(ローラー)のメリット・デメリット
メリット
- 塗料が激しく飛散することもなく、塗料の無駄が少ない
- 塗料の飛散が少ないため、高所の塗装作業にも向いている
- 作業がしやすく、安全である
- 騒音が出ない
デメリット
- 施工時間(工期)が長くかかる
- 施工箇所や状況によってさまざまなローラーが必要
- ローラーの劣化が早い
- 塗料を含みすぎると、液だれする
ローラーの種類
ローラーには「ウールローラー」と「砂骨ローラー」の2種類があり、工程によりこの2つのローラーを使い分けています。
ウールローラー
ウールローラーは実際に羊毛を用いたローラーで、塗料を均一に塗りやすく、また模様を付けない塗装で活躍します。
下塗り、中塗り、仕上げの上塗りまで全てに使用できる道具で、毛の長さにより短毛、中毛、長毛があります。毛が長いほど塗料をたっぷりと塗りつけることが出来ます。
外壁に凹凸が多くあっても、毛足の長いローラーで対処することが出来ます。
砂骨ローラー
砂骨ローラーは、硬めのスポンジのような材質で出来たローラーで、中にシフォンケーキのような空洞があります。
一度に多くの塗料を含ませることが出来るので、厚塗りしたい時や塗料の粘度が高い時に使用されます。
外壁の吸い込みが激しい下塗りの塗装で、最も活躍する道具です。
手塗り(刷毛)のメリット・デメリット
メリット
- 狭い、細部の塗装に適している
- 仕上げ(タッチアップ)や補修する場合の塗装に適している
- 付帯部(サッシなど)との取り合いの塗装に適している
デメリット
- 広い範囲の塗装に不向きである
- 塗りムラができる
- 刷毛を使って綺麗に仕上げるためには技術が必要
刷毛の種類
刷毛には、さまざまな種類がありますが、外壁塗装では「平刷毛」、「筋交い刷毛」のこの2つが主に使用されています。
サイズも用途によって、大きさを変えて、「油性・水性・ニス用」と3種類あります。
平刷毛
まっすぐで平らな刷毛で、主に塗り面積が大きい場合に使用していきます。
筋交い刷毛
45度に折れ曲がっている刷毛で、主に狭い箇所や細部の塗装を行う際に使用していきます。
吹き付けによる外壁塗装
吹付塗装は、スプレーガンと言われる専用の道具を使用して霧状で外壁に吹き付ける塗装方法です。
この塗装方法はスプレーによる塗料の飛散が多いので、施工中の職人は常にマスクが欠かせません。
吹き付け塗装のメリット
- 手塗りでは表現出来ない塗装方法が可能になる
- 仕上げの模様が豊富である
- 塗膜が均一となり、仕上がりがキレイ
- 施工がスピーディに進み費用も安く抑える
吹き付け塗装のデメリット
- 塗料の飛散が激しく、天候を選ぶ必要があり、養生も大変
- 塗料の消費が手塗りより多くなる
- 技術のある職人の施工が必要
- 騒音が出る
スプレーガンの種類
吹付塗装には空気圧を利用する「エアスプレー」と、空気圧を利用しないで塗料に圧力をかけて噴射する「エアレススプレー」の2種類があります。
作業効率がより上がるのは、噴射量の多い「エアスプレー」で、細部の作業やより仕上がりを均一にするには「エアレススプレー」となります。
どちらも、施工が早く進むので広範囲の塗装に向いています。
最後に
外壁塗装の手塗りと吹き付けでは、どちらの塗装方法にもメリットとデメリットがあります。
どちらの方法でも塗装を行う際には、塗料が飛び散らないように「飛散防止シート」でしっかりとガードしますが、飛散防止シートを行っても、吹き付け塗装による飛散被害は大きなリスクとなります。
そのため近年では、飛散被害が大きい吹き付け塗装が行わることは少なくなり、ローラーや刷毛での手塗り塗装が主流になっています。
もちろん、状況によってどちらが良いのか変わってきますので、施工前によく確認をしてから選ぶ必要があります。