外壁塗装を行う前に、必ず行うのが高圧洗浄(水洗い)です。
何十年もかけて溜まった「汚れ」や「コケ」、「カビ」、「藻」などを強い水の圧力で一気に洗い流していきます。
外壁材と塗料の密着度が、この高圧洗浄をやるかやらないかで大きく変わってきます。
また、サッシまわりなど、タイルの階段、カーポートの屋根部分も高圧洗浄で洗っただけで、すごくキレイになりますので外壁と一緒に洗ってあげると良いと思います。
ここでは、この高圧洗浄についての費用や施工方法についてご紹介していきます。
高圧洗浄の種類
外壁塗装で行う高圧洗浄では、使用するノズルを変えたり薬剤を塗布してから高圧洗浄を行うなど既存の外壁の状態に合わせた方法を選択することが大事です。ここでは高圧洗浄の種類について紹介していきます。
通常ノズル
ノズルとは高圧洗浄機の先端に接続するパーツです。一般的な高圧洗浄で使用するノズルのタイプが通常ノズルです。
通常ノズルの先端からは高圧の水が扇状に噴射されます。噴射される扇の範囲を調整できる可変タイプのノズルなどもありますが、一般的には一定の幅の扇状に圧縮された水が噴射されます。
通常ノズルから出る水は一定の方向から噴射されているため、金属などのフラットな素材の洗浄に適しています。しかし外壁材に凹凸があるデザインの場合には、一定方向からの洗浄では綺麗に汚れを落とすことが難しく、凹凸に合わせて上下左右さまざまな方向から洗浄する必要があります。
また木部を高圧洗浄する場合には、ノズルによって洗浄した跡が残ってしまうことがあります。高圧洗浄の跡は浸透性塗料で隠すことができないため、洗浄後にケレン作業を追加して行う必要があります。木部などやわらかい素材を高圧洗浄する場合には、通常ノズルを使用したほうが良いでしょう。
トルネードノズル
トルネードノズルは高圧の水を回転させながら噴射することができるノズルです。最も洗浄力が高い直噴射を回転しながら噴射することで、さまざまな方向から外壁材を洗浄することができます。
通常ノズルに比べてトルネードノズルのほうが洗浄力が高いとされ、2から3倍程度の速度で作業を進めることができます。ただし回転しながら噴射した水でも外壁材の細かな凹凸には対応することが難しいこともあるので、上下左右から洗浄することが必要です。
リシン吹付仕上げやスタッコなど細かな凹凸のある外壁材や広範囲の高圧洗浄が必要な場合には、トルネードノズルを使用することで作業効率を上げることができます。ただし既存の外壁の種類によっては、トルネードノズルを使用することで外壁材を傷つけてしまうことがあります。
洗浄力が高いために既存の塗膜や外壁材自体が剥がれてしまうこともあるので注意が必要です。既存の外壁材の種類や劣化状況にあわせたノズルの選択が重要です。
バイオ洗浄
一般的な高圧洗浄では水道から出る水を使用します。しかし既存の外壁にコケや藻が多く発生している場合には、バイオ洗浄を行うこともあります。
バイオ洗浄とは薬品を使用した外壁の洗浄方法です。
コケや藻の発生が多い場所に薬剤を塗布してから、高圧洗浄を行うことで通常の高圧洗浄よりも綺麗に洗い流すことができます。ただし、バイオ洗浄で使用した薬剤を丁寧に洗い流しておかないと、外壁塗装をした際に塗膜の剥離などにつながる可能性もあるので注意が必要です。
高圧洗浄の費用はどれくらい?
高圧洗浄の一般的な費用相場
高圧洗浄の作業は、半日~1日作業の作業手間賃として、おおよそ「15,000円~35,000円」くらいで、1平米単価で出すと「¥250円/㎡」くらいとなります。
基本的に「1人で1日作業」、「2人で半日作業」のため、1人工として「人件費分」が掛かってきます。
まれに、建物が大きくて高圧洗浄に「2日以上」かかる場合は、この倍の費用がかかる場合もあります。
また、高圧洗浄に使用する水道代が別途負担となってきます。
高圧洗浄の水道代はどれくらい?
高圧洗浄で使用する水道代は、外壁塗装の費用とは別に負担する必要があります。高圧洗浄機の性能や洗浄する際の圧力にもよりますが、一般的な高圧洗浄を行った際には、1時間に600リットル程度の水道水を使用することになります。
また高圧洗浄を行う際には、水道水を直接、高圧洗浄機に接続することはありません。外部水栓などから大きなバケツに大量の水を溜めて作業することで、作業中に水が足りなくなってしまうことを防ぎます。
高圧洗浄で使用する水の量は外壁塗装の面積や屋根塗装の有無によって異なりますが、1回の高圧洗浄で必要な水道料金はだいたい「1,000円から2,000円前後」となります。
建物以外を洗浄する場合は別途費用になる?
高圧洗浄を行う際に玄関ポーチや塀、駐車場など建物以外の場所も工事前に依頼すれば無料で洗ってくれることがほとんどです。
ただし、洗浄できない箇所や場所や範囲によっては有料になることもありますので、事前に確認が必要です。
外壁塗装業者が使用するエンジン式の高圧洗浄機は洗浄力が高いので、家庭用の高圧洗浄機よりも短時間で洗うことができますので、気になる箇所があるたかたは一緒に依頼をおすすめします。
高圧洗浄の流れ
ご近隣への挨拶
高圧洗浄は「騒音」や「汚れの飛散」など、ご近隣に対して気を使いながら行う作業です。
そのため、ご近所へ高圧洗浄の「日時や時間」、「詳細」の説明を必ず着工前に行っていきます。
高圧洗浄は、足場の養生シートがありますが、風などの影響で水や汚れが飛散してしまうことがあるため、とくにその点についての説明が必要です。
車なのどへの養生
洗濯物を干されていないかの確認と、「車など」にもしっかりと養生をします。
建物の近くに車があると、汚れてしまう可能性があるためです。そのため、「雨天時を狙って」高圧洗浄を行う場合もあります。
高圧洗浄の作業中に、少しでもご近隣への配慮が減るためです。
高圧洗浄の開始
高圧洗浄中は、エンジン音が出ます。
エンジン式は圧量が強く、コケや汚れが綺麗に洗い流すことが出来ます。
作業中はエンジン音がすごいと思いますが、すごい効果を発揮します。
カッパなどを着て、水洗いを行います。
2人作業で一人が洗い、一人がホースを持って高圧洗浄を行うと効率よく作業が進みます。
屋根塗装も行う場合には、屋根から高圧洗浄を行って、上から水洗いを行い、下に汚れをどんどん落としていくイメージです。
最後に、下に溜まった汚れを、キレイに洗い流して完了です。
高圧洗浄後、付着していた汚れが一掃されてキレイになります。
一昔前は、高圧洗浄機の性能も低く汚れを落とすのに2倍以上の時間を要していましたが、現在では機械も進化して作業効率も上がっています。
高圧洗浄後の乾燥時間
外壁塗装を行う上で、高圧洗浄後の乾燥時間は最終的な仕上がりや耐用年数に影響がでるためとても重要です。
乾燥時間としては、最低でも1日から2日程度は確保する必要があります。
重要な理由としては、高圧洗浄を行った後で「コーキングの打ち替え」や「養生」を行う場合は壁面が濡れていると作業できませんし、外壁が湿ったまま塗料を塗ってしまうと密着が悪く、また気泡などできる原因にもなってしまうためです。
高圧洗浄での注意点
手抜き業者の場合
外壁の洗浄をしっかりと行った場合には、大きさにもよりますが「3~6時間」くらいかかるのが普通です。
その高圧洗浄を、「1時間」で終わらせてしまう業者は、念入りに汚れを落とさずに、簡単に洗い流しただけの可能性もあるので注意が必要です。
洗いすぎにも注意
高圧洗浄では短すぎる作業時間も注意が必要ですが、反対に洗いすぎによっても劣化した外壁材が傷んでしまうこともあるため気を付けなければなりません。
高圧洗浄を行前に、必ず経年劣化の状態をみて、どのような洗浄を行うのか判断することが大事です。
また高圧洗浄後に古い塗膜が多少残っている状態であっても、シーラーなどの下塗りを行うことで固めることができるので、無理して洗いすぎる必要もないのです。
外壁材の劣化・雨漏りしている場合
外壁材の表面が剥離している場合など、「劣化状況によって高圧洗浄を行わない方が良い」場合もあります。
圧力を調整することもできますが表面がボロボロと剥がれてくることがあります。
また、雨漏りしている場合などには基本的に水漏れが悪化してしまうので高圧洗浄は避けた方が良いです。
家庭用高圧洗浄機でDIYはできる?
現在では家庭用高圧洗浄機などが普及していることもあり、自分で洗浄して費用を抑えようと考える方も多いでしょう。
自分で高圧洗浄を行った場合の費用はおおよそ「25,000円~30,000円程度」(家庭用高圧洗浄機代)です。もともと家庭用の洗浄機を持っていれば、「0円」で汚れを落とすことが可能です。
上記の事から、外壁の汚れ落としとして使うケースや玄関ポーチ、塀など単体で洗浄する場合にはDIYの方が安く早く、効率的です。
ですが、外壁塗装を依頼する場合は、家庭用高圧洗浄機では圧力や洗浄力が低いため時間がかりますし、汚れが落ち切らない場合があります。
高圧洗浄は外壁塗装の工程の中でも、仕上がりや耐久性に影響する大事な工程です。高圧洗浄の良し悪しによって塗膜の密着力も代わってしまうため、塗装工事を行う場合はおすすめできません。
汚れを落とすだけを目的とした場合以外は、塗装業者に高圧洗浄は任せたほうが良いでしょう。
最後に
高圧洗浄は、外壁塗装を行う上でとても重要な工程の一つです。
この作業を行うことで、汚れた外壁を綺麗にでき、塗料の密着度が高まり、耐久性に影響がでます。
そのため、時間をかけて念入りに洗浄を行う必要があります。
ですが、この高圧洗浄を雑に行う業者もいるため、着工前にしっかりと打ち合わせを行いその内容を確認しておきましょう。