外壁は、時間の経過とともに必ず劣化してくるものです。
外壁塗装とは、外壁を塗り直して景観をきれいに保つことだけではありません。外壁の傷みを補修し、コーティングすることもその役割です。
外壁材の中でも耐久性が高いコンクリートですが、この素材も適切な時期に塗装が必要となります。
ここでは、コンクリートの特徴や劣化症状、塗装した場合の費用についてご紹介していきます。
コンクリートの特徴について
コンクリートとは、セメントに砂や砂利、水を練り合わせて固めたものです。
圧縮には強いコンクリートですが、外から引き寄せられる力には弱いため、コンクリートの中に鉄筋を入れた鉄筋コンクリートとして使われることが多いです。
鉄筋コンクリートは、とても強く耐震性に優れていることから、耐火性、遮音性、耐久性に優れた外壁を作ることができます。
また、外壁として使う場合はデザイン性に優れていることも見逃せない特徴の一つです。
通常の塗装で仕上げるだけでなく、タイルを貼り付けたり、コンクリートをむき出しのまま仕上げることもできます。
コンクリートの劣化症状と塗り替え時期は?
コンクリートの劣化を放置してしまうと、状況が悪化して塗装ができない状態になってしまうこともあります。
そのようなことを防ぐためにも、劣化症状を知り、適切な時期に塗装を行う必要がります。
コンクリートの劣化症状
まず、劣化についてですが、劣化の原因は「紫外線」「風雨」「気温(高温)」の3つに分けられます。
そして、ひとくちに「劣化」と言っても、その症状は様々ですので、詳しく見ていきましょう。
ひび割れ
ひび割れには、コンクリートが乾燥することから発生するひび割れと、ゆがみなどから発生するひび割れの2通りあります。
ゆがみから発生するひび割れは影響が大きいためすぐに補修が必要になります。
塗膜劣化、剥離
塗膜とは、外壁に塗った塗料が乾燥し、固まって膜状になったものを言います。
塗膜でコーティングすることで、雨や紫外線によるダメージから、しっかり守られます。
ですが、塗膜が紫外線によって劣化していくと、変色したり、もともとの色より白くなる退色したり、粉状になったりしていきます。
そのほか、塗膜が剥がれることを「塗膜剥離」と言います。
ひび割れ等から内部に水分が入り込んだり、内部に湿気がたまることで、「外壁」と「塗膜」の間の接着が剥がれ塗膜剥離が生じます。
シーリング劣化
シーリング材は、壁のつなぎ目の処理などに使われています。
そのシーリング材が、紫外線の影響で劣化していきます。
コンクリートの塗り替え時期
コンクリートの塗り替え時期は、「10年~15年」サイクルが適切とされています。
そのほかにも、上記劣化症状が現れたら、補修などをこまめに行っていくと良いでしょう。
塗装は、表面を塗膜でコーティングして、素材(コンクリート)を雨水や紫外線から守るために行います。
そのため、塗り替え時期は早い方が良いことに間違いはありません。
ですが予算がかかりますので、塗装を行う時期は「劣化症状をみながら検討」していきましょう。
コンクリートを塗り替えた場合の費用単価は?
一般的なローラー仕上げであれば「約4000円/㎡~」の費用単価です。(塗装方法や塗料によって異なる)
擁壁などは「5万円~20万円」、一戸建ての塗装だと「60万円から110万円」くらいでしょう。
上記の単価では、「外壁3回塗り、高圧洗浄、下地調整、各種養生」の費用も含まれています。
足場が必要な場合は、別途「約12~20万円」かかります。
コンクリートに適した塗料や施工方法は?
コンクリートにもさまざま種類がありますが、「打ちっぱなし」と「軽量気泡コンクリート」でわけて塗料の解説していきます。
打ちっぱなしコンクリート
打ちっぱなしコンクリートを塗装する場合には、通常塗料ではなく専用の塗料を使用していきます。
通常塗料を使用すると、内部に残った水分の逃げ道が完全に遮断されて、気泡などの原因になってしまうためです。
また、打ちっぱなし独特のデザイン性も塗りつぶしとなってしまい、損なわれてしまうためです。
撥水剤
撥水(はっすい)材は、水をはじく効果があり、コンクリート内部に雨水が入らないようにするための、透明な防水塗料です。
透明な塗料なので、打ちっぱなしのデザイン性を生かすことができます。
撥水剤だけでも効果を発揮しますが、耐久性が低いため数年でメンテナンスが必要となってしまうため、カラークリヤー塗料などの下塗り材として使用されています。
カラークリアー塗料
カラークリアー塗料には、「クリヤー」、「半透明クリアー」、「完全不透明」があります。
上塗り材として、カラークリアー塗料は使用されており、撥水剤のみと比較すると耐久性は向上します。
クリヤーや半透明クリヤーを使用することにより、打ちっぱなしのデザインは生かされ塗装を行う事が出来ます。
また、表面の状態が良くない場合には、完全不透明を使用していくとムラなく綺麗に仕上がります。
塗料のグレードには、シリコン系やフッ素系などがあります。
カラークリヤー塗料
- 関西ペイント:アクアプリズム
- SK化研:セラミクリート
- 大日技研工業:ランディックスコート
軽量気泡コンクリート
軽量気泡コンクリートまたはALC壁と呼ばれる外壁材には、モルタル壁など同様に「通常塗料」やひび割れに強い「弾性系塗料」を使用していくのが一般的です。
ALC壁でも状態が良い「8年~10年」までなら、クリヤー塗料で施工を行うケースもあります。
軽量気泡コンクリートも壁面は雨水を吸収しやすいので、定期的な塗り替えが必要となります。
塗料のグレード
外壁塗装に用いられる塗料にはたくさんのグレードがあり、グレードによって耐用年数も変わってきます。
適切な塗料を選べるよう、代表的な塗料の特徴を紹介します。
アクリル塗料
アクリル塗料、他の塗料に比べると価格が安いというメリットがあります。汚れやすい、他の塗料に比べて耐久性が低いという特徴があります。
耐用年数は「5~8年程度」です。
ウレタン塗料
光沢が出て、高級な仕上がりに見えます。また、素材にしっかり付着してくれどの素材にも使える汎用的な塗料です。一方で、紫外線に弱く変色する可能性があったり、高湿度の環境下では、塗膜性能が落ちてしったりするという欠点もあります。
昔はウレタン塗料が主流でしたが、今はシリコン塗料にその座を譲り、外壁塗装での出番は少なくなっています。
耐用年数は「約8~10年」です。
シリコン塗料
シリコン塗料は価格と機能のバランスが良い塗料です。最近は、熱を遮る遮熱機能が施された商品や暑さだけでなく寒さなどにも耐える性能を兼ね備えた商品などが出てきました。さらに、色のバリエーションも豊富で人気になっています。
耐用年数は「12~15年程度」です。
フッ素塗料
フッ素塗料は耐用年数が長く、耐久性・耐候性に優れた塗料です。価格が高く初期投資がかかるのが難点ですが、長期的に外壁を保護できるので、長い目で見てコストパフォーマンスの良い塗料といえるでしょう。
耐用年数は「15~20年程度」です。
無機塗料
レンガや石などの鉱物(無機物)を主原料にした無機塗料は、紫外線などの影響を受けにくく、先に紹介したアクリル、シリコン、フッ素、ウレタンなどの有機塗料に配合することで耐候性を高めることができ、汚れにくく、燃えにくい塗料になります。一方で、価格が高いことや有機塗料と混ぜているため塗料の効能などが分かりにくいこと、ひび割れしやすいというデメリットがあります。
耐用年数は「18~23年程度」です。
コンクリートの塗装方法
一般的な塗装の方法をご紹介します。
下地処理
下地処理はコケや汚れを落としたり、研磨パッドなどを用いて滑らかにし密着しやすくしたりする処理です。
高圧洗浄
高圧洗浄で、汚れやコケなどを綺麗に洗い流していきます。
その後は、しっかりと乾燥したことを確認してから次の作業に入っていきます。
下塗り
塗装するものに適した下塗り材を塗っていきます。
下塗り材は、撥水剤など吸い込み防止塗料や、上塗りが定着しやすくなるための塗料使用していきます。。
上塗り(1回目)
下塗り材同様、塗装するものに適した上塗り材を選び、塗っていきます。
上塗りに使用する塗料はグレードによって耐用年数、つまりどれくらいもつかが変わってくるので、用途に合わせて塗料のグレードを選ぶ必要があります。
上塗り(2回~3回目)
1回目の上塗りがしっかり乾いてから同じグレードの塗料を用いて、2回目を塗っていきます。
状況によって仕上げを2回行い、計4回塗りで行うケースも多いです。
時間はかかりますが、「保護」するためにしっかり行いたいものです。
コンクリート塗装の注意点
コンクリートを塗装するにあたって、「下地処理」がとても大切になってきます。
「下地処理」とは、基礎となる下地(塗装面)を綺麗にすることです。
もし下地がきちんと補修されていないと、補修前と同じトラブルを引き起こしてしまいます。
ひび割れがある場合は、下地処理でしっかりひび割れを塞ぐ処理をする必要があります。
補修をしっかり行っておかないと、塗膜が剥がれやすくなったり、耐久年数が著しく低くなったりして、メンテナンス費用が余計にかかります。
また、カビやコケ、汚れから守り、腐食からコンクリート内部や表面を守るために「撥水処理」をすることは大切です。
最後に
コンクリートも経年で劣化や汚れが目立ちます。
耐久性や美観を維持するためにも塗装を行う必要があります。
塗装を行う場合は、しっかりと下地調整を行い、適切な塗料の使用も大事なポイントとなります。
コンクリートの塗装時期がきたなと感じたら、早めのメンテナンスをおすすめ致します。