ビルの外壁塗装は、外観をきれいにしてイメージアップを図るという目的だけではありません。
風雨や紫外線にさらされた外壁は、放っておくと劣化して「ヒビ割れや雨漏り」などが発生してしまいます。このような劣化を防ぎ、建物の寿命を延ばすためにも、ビルの外壁塗装はとても大切なことなのです。
ですが、そこで気になるのが「外壁塗装の費用」だと思います。ビルの外壁塗装を行った場合には、どれくいらいの費用がかかってくるのでしょうか?
ここでは、ビルの外壁を塗装した場合の費用の目安についてそれぞれ解説していきます。
ビルの外壁塗装の費用目安
【1フロアが「30坪」の場合で「シリコン系」塗料使用】
外壁塗装「128㎡」:単価「¥3000円/㎡」(高圧洗浄、養生費含む)
仮設足場「178㎡」:単価「¥700円/㎡」(メッシュシート含む)
上記内容と単価で計算しています。
※実際に施工する外壁の「㎡数」は建物によって変わります。また工事単価も、施工業者により変わります。
外壁塗装 | 仮設足場 | 合計 | |||
3F建て | 384㎡ | 115.2万 | 534㎡ | 37.3万 | 152.5万 |
4F建て | 512㎡ | 153.6万 | 712㎡ | 49.8万 | 203.4万 |
5F建て | 640㎡ | 192万 | 890㎡ | 62.3万 | 254.3万 |
6F建て | 768㎡ | 230.4万 | 1068㎡ | 74.7万 | 305.1万 |
7F建て | 896㎡ | 268.8万 | 1246㎡ | 87.2万 | 356万 |
8F建て | 1024㎡ | 307.2万 | 1424㎡ | 99.6万 | 406.8万 |
外壁1㎡当たり、シリコン塗料でおよその単価は、約「2,500円~3,000円」です。
施工面積も建物によって違うので、3階建ての場合で「90万円~145万円」くらいで、5階建で、「150万円~242万円」などと費用幅も大きくなります。
また、ビルの外壁塗装の場合は、足場工事費も価格に大きく影響します。
一般的に、仮設足場の単価は、「650円~1000円/㎡」程度です。
足場工事費用は横に広くなるよりも高くなる方が「足場単価も上昇」しますので、背が高いビルの外壁塗装をする場合は、足場工事費のウエイトが高くなりますので注意が必要です。
塗料によって費用単価が変わる?
ビルの外壁塗装の費用は、使用する塗料によっても大きく変わります。
塗料によって耐久性が違うので、耐久性が良い塗料を使用するほど材料費が高くなるためです。
【塗料別の単価表】
塗料の種類 | 耐久年数 | 費用目安 |
アクリル | 5~7年 | 1700~2000円/㎡ |
ウレタン | 8~10年 | 2000~2500円/㎡ |
シリコン | 10~12年 | 2500~3000円/㎡ |
ラジカル | 15年 | 2800~3500円/㎡ |
フッ素 | 18~20年 | 4000~5500円/㎡ |
無機 | 20~23年 | 5500~6500円/㎡ |
※高圧洗浄、下地調整、養生費含む(足場代別)
最も安価なアクリル系塗料ですと、塗装単価は1㎡当たり「1,700円~2,000円」が相場です。
最も高い塗料は、無機系塗料で、1㎡当たり「5,500円~6,500円」ほどですから、およそ約3倍の違いが有ります。
ビルが大きくなるほど、この塗料の違いによる価格差は大きくなっていきます。
ビルの外壁塗装は工事期間が長く、その間は入居者や来訪者に不便をかけることになりますし、費用の面でも、足場代が占めるウエイトが高いので、頻繁に塗装を行うことは、おすすめできません。
そのため、塗料の価格のみを優先するのでは無く、長持ちするという観点で選定することが重要です。
ビルの塗装でおすすめの塗料は?
ビルの外壁塗装に使用する塗料は、一般的には次の4種類が多く使われます。
その塗料は、「シリコン塗料、ラジカル塗料、フッ素塗料、無機塗料」です。
それぞれ、メリット、デメリットがありますが、おすすめ塗料としては「ラジカル、フッ素」です。
この4種類の特徴について解説します。
シリコン塗料
他の塗料に比べると、単価が安く、戸建てやマンション、アパートでもよく使用されている塗料です。
安定した塗料の性質を持っていて、汚れやカビにも強く、耐用年数は「10~12年」です。
ですが、ビルは高層階になるほど、常に風雨や紫外線にさらされ続けることになります。
安いですが、耐久性がすこし低いため、メンテナンス周期が早くなります。
足場などで費用がかかるビルの塗装では、もう少し耐久性の高い塗料を使用した方が良いかもしれません。
ラジカル塗料
シリコン塗料とフッ素塗料のちょうど中間位の耐久性が期待できると言われているのがラジカル塗料です。
ラジカル塗料は紫外線などによる劣化を和らげる画期的な塗料で、汚れ防止性能が高いです。
シリコンよりも耐久性が良いですが、そこまでシリコンとの価格差もありません。
そのため、将来的なメンテナンスコストを考えたときに、シリコンを使うのであればラジカルで仕上げたほうが「コストカット」につながるので、おすすめです。
フッ素塗料
フッ素塗料は、「耐久性、耐候性に優れ、汚れ」にも強い、高耐久塗料です。
汚れに強いとメンテナンスが楽ですから、高層ビルに多く使用されている塗料です。
一般的なビルでは、単価が高額となるので、使用頻度は少ない傾向にあります。
シリコンやラジカルよりも耐久性を求め、無機塗料より費用を抑えたいという方におすすめです。
無機塗料
現在あるグレードの中で、もっとも耐久性の高い塗料が無機塗料です。
他の塗料と違い、無機物(石やレンガなど)が含まれているため、対候性が優れています。
高層階になればなるほど、「形に残らない足場の費用」がかかってしまうビルの塗装では、選ばれることも多いです。
ですが、無機塗料は費用が高額です。
メンテナンス周期を考え、フッ素塗料と比較して、条件に合う場合は選んでいくと良いでしょう。
ビルの外壁塗装での注意点
工事中に騒音が出る
外壁塗装工事は塗装するだけなので、騒音がないと思っている方も多いですがそれは違います。
じつは、塗装工事以外の「仮設足場の組立や解体時」、「高圧洗浄」を行う際に、騒音が発生します。
部材をハンマーで叩く音や高圧洗浄機の機械音がそれなりに出ますので、テナントや居住者の方に説明を行っていく必要があります。
塗料の臭いがでる
塗装工事中で一番気になるのが、塗料の臭いです。
そのためテナントや居住者からクレームになる可能性があるので、説明を十分に行う必要があるでしょう。
最近では、臭いを押さえた塗料が開発されていますが、それでも多少の臭いはしてしまいます。
臭いを少しでも抑えるためには、「水性塗料の使用」や夏場の工事は避け、「冬場などに工事を行う」と臭いを軽減できます。
塗料については、施工業者が詳しいので、耐久性もふまえて業者としっかりと打ち合わせして決めることが大切です。
施工業者を慎重に選ぶ
外壁塗装と一口で言っても、その技術は施工する業者によって違います。
ビルの塗装を多く手掛けている業者を選ぶことは必須です。
費用に関しても、施工業者によって大きく違うので注意が必要です。
また、1件の請負代金が「500万円以上」の外壁塗装を行う場合は、建設業許可の取得が必要です。
ビルの外壁塗装の相場は高額になるので、建設業許可を持っていることが、一つの判断基準にもなるでしょう。
最後に
ビルの外壁塗装の費用は、「建物の大きさ」、「塗料の種類」によって、大きく変わります。
規模の大きいビルの塗装となれば、正確な費用に近い単価を出すにも、現地調査が必要となります。
塗装をお考えの方は、まずは見積もりを依頼して、ご検討をおすすめいたします。