外壁塗装は施工業者によって数十万以上の見積り金額差が出る業界です。
相見積りを取ったら同じ条件なのに、「120万円が70万円に費用が下がった」という話はよくあります。
このように、施工業者によって外壁塗装の費用は大きく異なるため、見積りを依頼する際には価格相場を把握しておくと失敗が少なくなります。
ここでは、建坪(延べ床面積)が「60坪」のお宅を例に解説していきます。
外壁塗装「60坪」の相場価格はどれくらい?
建坪:「60坪」窯業サイディング壁(シリコン塗料使用)
相場価格は「140万円~155万円」となります。
【内訳】
工事内容 | 60坪(㎡数) | 単価 | 費用相場 |
仮設足場(メッシュ含む) | 334㎡ | ¥750円 | ¥250,500円 |
高圧洗浄(水洗い) | 235㎡ | ¥200円 | ¥47,000円 |
各種養生費(下地調整含む) | 235㎡ | ¥300円 | ¥70,500円 |
下塗り | 235㎡ | ¥800円 | ¥188,000円 |
中塗り | 235㎡ | ¥950円 | ¥223,250円 |
上塗り | 235㎡ | ¥950円 | ¥223,250円 |
目地コーキング打ち | 1式 | ¥120,000円 | ¥120,000円 |
木部鉄部塗装 | 1式 | ¥150,000円 | ¥150,000円 |
各種運搬及び諸経費 | 1式 | ¥50,000円 | ¥50,000円 |
小計 | ¥1,322,500円 | ||
消費税(10%) | ¥132,250円 | ||
合計 | ¥1,454,750円 |
各種平米数(㎡)は、『外壁の総面積」から「サッシや玄関扉や付帯部分」の面積を差し引いた数字となり、その数字はそれぞれお家によって異なってきます。
チェックポイント
足場の面積「㎡数」が多いのは、外壁面から離れた位置に足場を設置して、その囲う面積で算出していくためです。
コーキングの「m数」も建物によって違うため、多いお宅では費用も割り増しとなるでしょう。
モルタル壁の場合には「コーキング打ち替え及び増し打ち」の項目がないため、その分の費用がなくなります。
60坪の塗料別の費用相場
塗料の種類 | アクリル | ウレタン | シリコン | ラジカル | フッ素 |
相場価格(税込み) | 117万円 | 122万円 | 127万円 | 127万円 | 142万円 |
※コーキングは含まれてません。
基本的には、耐久性が高くなるにつれ価格も高くなるという考え方です。
上記の塗料以外に、遮熱機能などをもつ機能性塗料もあります。
機能性塗料は機能を持つ分、耐久性が低くても価格が高くなるケースがあるため、耐久性と価格の相場を把握した上で検討してみてください。
塗料別の期待耐用年数と単価
塗料の種類 | 耐久年数 | 費用相場 |
ウレタン | 8~10年 | 1800~2500円/㎡ |
シリコン | 10~12年 | 2500~3200円/㎡ |
ラジカル | 15年 | 3200~3600円/㎡ |
フッ素 | 18~20年 | 4000~5000円/㎡ |
上記の年数は耐用年数と謳っている通り、あくまで目安となり、立地環境により耐久性が異ります。
雪の多い地域、塩害の多い地域、交通量の多い大通り沿いといった立地条件だと塗膜の劣化が早くなってしまいます。
外壁塗装費用の求め方
外壁塗装は大きく3種類の工事により成り立っています。
- 外壁の塗装
- 仮設足場
- 細部の塗装、付帯工事
自身で簡単に費用を算出する方法があるので紹介します。
外壁の塗装
外壁の塗装費用の算出に必要なのは、外壁面積(m2)と使用塗料単価です。
まずは外壁面積です。
外壁面積は「延べ床面積(建坪×3.3)×1.2~1.3」にて割り出すことができます。(外壁全体から窓を除いた面積になります)
<例>60坪の外壁面積の求め方
「延べ床面積」:60坪×3.3=198㎡
「外壁の面積」:198㎡×1.2=237.6m2
※延べ床面積とは、各階の床の総面積の合計です。
次に外壁面積が出たら「塗装費用」と「高圧洗浄費」、「養生費」を出すことができます。
塗料の種類は「シリコン塗料」を例に紹介します。
<例>シリコン塗料使用
「塗装費」:237.6㎡×2.700円=¥641,520円
「洗浄費」:237.6㎡×200円=¥47,520円
「養生費」:237.6㎡×300円=¥71,280円
以上のように公式を使用すれば、簡単に外壁塗装費用を算出することができます。
仮設足場
外壁塗装に仮設足場は欠かせません。
仮設足場費用は「足場面積×施工単価(¥750)」にて算出ができます。
面積は「延べ床面積(坪数×3.3)×1.8」にて割り出すことができます。
外壁よりも一回り外側に設置をする必要がある為、外壁面積よりも広くなるという訳です。
<例>60坪の足場費用
「足場面積」:延べ床面積(198m2)×1.8=356.4㎡
「足場費用」:足場面積(356.4m2)×施工単価(¥750)=¥267,300円
以上のように足場仮設費用を算出することができます。
細部の塗装、付帯工事
最後に細部の塗装や付帯工事です。
付帯塗装工事やコーキング工事に関しては、M数で単価計算されています。
ですが、外壁塗装とセットで行うと「12万円~18万円」くらいで計算されることが多いです。
・木部鉄部塗装(破風、軒天、霧除け、雨戸など):「¥150,000」
・コーキング打ち替え:「¥120,000」
・現場諸経費:「¥50,000」
※上記金額は目安です。また、外壁の素材や劣化状況により、項目が増えたり減ったりすることがあります。
外壁塗装の費用に影響する5つの状況とは?
使用する塗料の違い
まずは使用する塗料の違いです。
先ほどの相場例は一般住宅に使用される標準グレードである「シリコン塗料」にて算出しております。
さらに耐久性のある「フッ素系」で見積りを作成した場合は、相場価格に対して高い見積り金額となるでしょう。
劣化状況
次に外壁が著しく劣化している場合です。
通常の外壁塗装では対応できない場合は、外壁材の補修などが必要となります。
そういった工事が必要な場合も価格が高くなってしまいます。
立地条件
自宅の前に長い階段があったり、車から自宅までの距離が遠い、作業車の駐車スペースが無い場合など、住宅の立地条件により費用が割り増しとなります。
また、隣家との距離が狭い場合も、作業効率が低下して日数がかかることがあるので注意が必要です。
使用されている外壁材の違い
使用されている外壁材の違いは、見積り金額に大きく左右します。
例えば相場例のように窯業系サイディングの場合、コーキングの打ち替えが必要です。
しかし樹脂系サイディングの場合はコーキングが不要な為、それらの金額が不要となります。
階層数
塗装面積が変わらない場合でも、2階建より3階建の方が金額が高くなります。
それは足場仮設面積が増えたり、作業に手間がかかるためです。
このような営業には気を付けよう!
リフォーム詐欺という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
そういった被害に遭わない為にも注意しておきたいポイントをいくつか紹介します。
相場価格より極端に安い
価格は安ければ良いと思ってしまいがちですが、極端に安い場合は怪しい為注意が必要です。
例えば、3度塗りする必要のある外壁を2度塗りで仕上げるといった方法で価格を安く設定する業者もいる為、注意が必要です。
担当者の知識が不足している
外壁塗装には正しい知識が必要です。
取り扱う塗料に対しての知識はもちろんですが、施工に関する必要も重要です。
外壁塗装を行うタイミングや、使用する下塗材の選定など、正しい選択を行わなければ耐用年数が短くなってしまいます。
オリジナル塗料を勧めてくる
業者によってはオリジナル塗料を勧めてくる場合があります。
オリジナル塗料は一概に危険と判断ができませんが注意するべきです。
施工実績や保証期間が無い場合もある為、実績もある日本3大塗料メーカーでもある「SK化研」「関西ペイント」「日本ペイント」といった大手メーカーが無難でしょう。
外壁塗装費用を安く抑えるコツ
ここからは外壁塗装費用を安く抑える為にコツについて紹介します。
火災保険を利用する
外壁塗装で、火災保険を利用できるケースはほとんどありませんが、「屋根・軒天・雨樋」などは自然災害の影響で不具合を起こしやすく対象になる箇所です。
もし、これらの箇所が被害を受けている場合は、火災保険が適用されて仮設足場を建てられます。
仮設足場を保険費用で補えるため、外壁塗装の工事代金から足場費用が削減できるので安価に工事を行う事が出来ます。
相見積もりを取り価格交渉を行う
複数の会社で見積りをとる相見積もりは価格交渉の材料として使用しましょう。
「A社の方がB社より信頼できるけど、B社より10万円高い・・・」といったことはよくあります。
その場合、A社に「いくら安くなりますか?」という交渉より、「A社にお願いしたいけど同条件のB社より10万高いので価格を合わせてくれませんか」という交渉の方が、会社側としても値引きがしやすいです。
相見積もりをうまく使いながら価格交渉を行いましょう。
最後に
外壁塗装「60坪」の相場価格は、平均して「140万円~155万円」くらいになります。
その他条件により価格は変動しますが、提案された見積り金額が相場より大きく差がある場合は注意が必要です。
また、外壁塗装で失敗しない為には焦らず相見積りを取り、信頼できる施工業者・担当者を選びましょう。