外壁塗装は施工業者によって数十万以上の見積り金額差が出る業界です。
相見積りを取ったら同じ条件なのに、「120万円が70万円に費用が下がった」という話はよくあります。
このように、外壁塗装の費用は大きく異なるため、見積りを依頼する際には価格相場を把握しておくと失敗が少なくなります。
ここでは、建坪(延べ床面積)が「30坪」のお宅を例に解説していきます。
外壁塗装「30坪」の相場価格はどれくらい?
建坪:「30坪」窯業サイディング壁(シリコン塗料使用)
相場価格は「80万円~95万円」となります。
【内訳】
工事内容 | 30坪(㎡数) | 単価 | 費用相場 |
仮設足場(メッシュ含む) | 178㎡ | ¥850円 | ¥151,300円 |
高圧洗浄(水洗い) | 128㎡ | ¥250円 | ¥32,000円 |
各種養生費(下地調整含む) | 128㎡ | ¥350円 | ¥44,800円 |
下塗り | 128㎡ | ¥800円 | ¥102,400円 |
中塗り | 128㎡ | ¥1,200円 | ¥153,600円 |
上塗り | 128㎡ | ¥1,200円 | ¥153,600円 |
目地コーキング打ち | 1式 | ¥70,000円 | ¥70,000円 |
木部鉄部塗装 | 1式 | ¥80,000円 | ¥80,000円 |
各種運搬及び諸経費 | 1式 | ¥50,000円 | ¥50,000円 |
小計 | ¥837,700円 | ||
消費税(10%) | ¥83,770円 | ||
合計 | ¥921,470円 |
各種平米数(㎡)は、『外壁の総面積」から「サッシや玄関扉や付帯部分」の面積を差し引いた数字となり、その数字はそれぞれお家によって異なってきます。
チェックポイント
足場の面積「㎡数」が多いのは、外壁面から離れた位置に足場を設置して、その囲う面積で算出していくためです。
コーキングの「m数」も建物によって違うため、多いお宅では費用も割り増しとなるでしょう。
モルタル壁の場合には「コーキング打ち替え及び増し打ち」の項目がないため、その分の費用がなくなります。
30坪の塗料別の費用相場
塗料の種類 | アクリル | ウレタン | シリコン | ラジカル | フッ素 |
費用の目安(税込み) | 73万円 | 78万円 | 83万円 | 83万円 | 95万円 |
※コーキングは含まれてません。
基本的には、耐久性が高くなるにつれ価格も高くなるという考え方です。
上記の塗料以外に、遮熱機能などをもつ機能性塗料もあります。
機能性塗料は機能を持つ分、耐久性が低くても価格が高くなるケースがあるため、耐久性と価格の相場を把握した上で検討してみてください。
塗料別の期待耐用年数と単価
塗料の種類 | 耐久年数 | 費用相場 |
ウレタン | 8~10年 | 1800~2500円/㎡ |
シリコン | 10~12年 | 2500~3200円/㎡ |
ラジカル | 15年 | 3200~3600円/㎡ |
フッ素 | 18~20年 | 4000~5000円/㎡ |
上記の年数は耐用年数と謳っている通り、あくまで目安となり、立地環境により耐久性が異ります。
雪の多い地域、塩害の多い地域、交通量の多い大通り沿いといった立地条件だと塗膜の劣化が早くなってしまいます。
外壁塗装費用の求め方
外壁塗装は大きく3種類の工事により成り立っています。
- 外壁の塗装
- 仮設足場
- 細部の塗装、付帯工事
自身で簡単に費用を算出する方法があるので紹介します。
外壁の塗装
外壁の塗装費用の算出に必要なのは、外壁面積(m2)と使用塗料単価です。
まずは外壁面積です。
外壁面積は「延べ床面積(建坪×3.3)×1.2~1.3」にて割り出すことができます。(外壁全体から窓を除いた面積になります)
<例>30坪の外壁面積の求め方
「延べ床面積」:30坪×3.3=99㎡
「外壁の面積」:99㎡×1.3=128.7m2
※延べ床面積とは、各階の床の総面積の合計です。
次に外壁面積が出たら「塗装費用」と「高圧洗浄費」、「養生費」を出すことができます。
塗料の種類は「シリコン塗料」を例に紹介します。
<例>シリコン塗料使用
「塗装費」:128.7㎡×3.200円=¥411,840円
「洗浄費」:128.7㎡×250円=¥32,175円
「養生費」:128.7㎡×350円=¥45,045円
以上のように公式を使用すれば、簡単に外壁塗装費用を算出することができます。
仮設足場
外壁塗装に仮設足場は欠かせません。
仮設足場費用は「足場面積×施工単価(¥850)」にて算出ができます。
面積は「延べ床面積(坪数×3.3)×1.8」にて割り出すことができます。
外壁よりも一回り外側に設置をする必要がある為、外壁面積よりも広くなるという訳です。
<例>30坪の足場費用
「足場面積」:延べ床面積(99m2)×1.8=178.2m2
「足場費用」:足場面積(178.2m2)×施工単価(¥850)=¥151,470円
以上のように足場仮設費用を算出することができます。
細部の塗装、付帯工事
最後に細部の塗装や付帯工事です。
付帯塗装工事やコーキング工事に関しては、M数で単価計算されています。
ですが、外壁塗装とセットで行うと「8万円方~12万円」くらいで計算されることが多いです。
・木部鉄部塗装(破風、軒天、霧除け、雨戸など):「¥80,000」
・コーキング打ち替え:「¥70,000」
・現場諸経費:「¥50,000」
※上記金額は目安です。また、外壁の素材や劣化状況により、項目が増えたり減ったりすることがあります。
外壁塗装の費用に影響する5つの状況とは?
使用する塗料の違い
まずは使用する塗料の違いです。
先ほどの相場例は一般住宅に使用される標準グレードである「シリコン塗料」にて算出しております。
さらに耐久性のある「フッ素系」で見積りを作成した場合は、相場価格に対して高い見積り金額となるでしょう。
劣化状況
次に外壁が著しく劣化している場合です。
通常の外壁塗装では対応できない場合は、外壁材の補修などが必要となります。そういった工事が必要な場合も価格が高くなってしまいます。
クラック補修
外壁材にひび割れが発生している場合には、その補修が必要です。地震の影響や経年劣化、釘打ち部分などの施工状況によって起こりやすくなります。ひび割れ補修費用は1万円から5万円前後です。
モルタル壁などは、ひび割れの幅によってその施工方法も変わり、幅が大きい場合はVカットという工法を用いて作業を行うため割高になるケースがあります。
外壁材の部分張替え
外壁材の部分張替えはコーキングやひび割れ補修では対応できない場合に行います。劣化してしまった外壁材を部分的に張り替える費用は3万円から5万円前後です。
既存の外壁材の施工方法によっては、張り替えが困難になることもあります。また部分的に張り替えを行うことで、防水性能損なわれてしまわないような配慮も必要です。同じ柄がない場合や少しでも費用を抑える場合には、上からガルバリウム鋼板をカバーして仕上げる工法もあります。
立地条件
自宅の前に長い階段があったり、車から自宅までの距離が遠い、作業車の駐車スペースが無い場合など、住宅の立地条件により費用が割り増しとなります。
また、隣家との距離が狭い場合も、作業効率が低下して日数がかかることがあるので注意が必要です。
使用されている外壁材の違い
使用されている外壁材の違いは、見積り金額に大きく左右します。
例えば相場例のように窯業系サイディングの場合、コーキングの打ち替えが必要です。
しかし樹脂系サイディングの場合はコーキングが不要な為、それらの金額が不要となります。
階層数
塗装面積が変わらない場合でも、2階建より3階建の方が金額が高くなります。
それは足場仮説面積が増えたり、作業に手間がかかるためです。
このような営業には気を付けよう!
リフォーム詐欺という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
そういった被害に遭わない為にも注意しておきたいポイントをいくつか紹介します。
オリジナル塗料を勧めてくる
業者によってはオリジナル塗料を勧めてくる場合があります。
オリジナル塗料は一概に危険と判断ができませんが注意するべきです。
施工実績や保証期間が無い場合もある為、実績もある日本3大塗料メーカーでもある「SK化研」「関西ペイント」「日本ペイント」といった大手メーカーが無難でしょう。
期間限定キャンペーン中
○月までなら値引きができますという場合も注意が必要です。
即決させることで相見積もりを取る時間を作らせない為の営業方法ですので、結果的に相場より高いというケースがほとんどです。
見積もり書の項目が一式
見積もり書の項目がすべて一式で記載されている場合も注意が必要です。
外壁塗装には各工程の一般的な相場の単価があります。施工面積と相場の単価によって見積もり書の金額が決定するため一式で記載される項目は限られます。見積もり書の項目がすべて一式で記載されている際には金額の詳細を確認したほうが良いでしょう。
適正価格で行う為に信頼できる業者の選び方
適正価格且つ、施工クオリティも安心な業者に依頼するのがベストだと思います。
ここからは価格面以外での業者選びのポイントについて紹介していきます。
施工実績
施工実績は業者選びを行う上で非常に大切なポイントです。
ネットで様々な口コミが広がる現状では、施工クオリティや現場管理クオリティの低い業者はすぐに淘汰されてしまう時代です。
創業年数が長い業者などは、事業を続けてこられた実績があるため、比較的信頼できると考えて良いでしょう。
保証内容
保証が無い会社は非常に心配だと思います。業者選定をする際には、施工保証がどれだけ付くかというのは確認しておきましょう。
外壁塗装の場合、塗料に対してメーカーからの保証はつきません。施工環境や状況により塗料の持ちが違うためです。そのため、耐用年数と謳われております。
外壁塗装の場合に付く保証としては、施工会社の施工保証です。色むらや施工不備に対する不具合などについては、施工保証が付く会社も多くあるため、確認しておきましょう。
提案力
営業マンの提案力も信頼できる業者選定には大切なポイントです。
外壁の状況を見て見積りだけを出してくる営業マンもいれば、外壁調査報告書を資料としてまとめ、様々な種類の塗料との価格差を含めて提案をしてくれる営業マンもいます。
他にも、「外壁と合わせて屋根の塗装をしたほうが良い」や「火災保険(対象の場合)を使用すれば仮設工事の費用が控除される可能性があります」といった様々な視点から提案をしてくるなど、提案力のある会社は信頼でき、施工後も満足度の高い会社選びになると思います。
外壁塗装費用を抑える方法
外壁塗装費用を抑える方法には、適正な金額を把握することや依頼する内容を工夫することが大事です。ここでは外壁塗装費用を抑える方法について紹介していきます。
複数の業者に相見積もりを依頼する
外壁塗装の費用は施工する業者によって大きく差がでます。理由は、施工業者によって費用や施工レベルが違うためです。
外壁塗装の相場価格の範囲は広く、お家によって費用が全然違うため、なかなか一般的な相場観が掴みずらいのが現状です。
また施工レベルに関しても、細かい作業に時間をかけて丁寧に行うか、ささっと簡単に仕上げてしまうのかで工期や材料費が変わってくるため費用が変わるのです。もちろん、このようなただ安いだけの業者は危険です。
そのため、相見積もりを行って「安すぎず、高すぎず、丁寧に仕上げてくれる優良業者」をみつけた方がよいでしょう。
火災保険を利用する
基本的に外壁塗装工事で火災保険を利用することは難しいですが、「強風による飛来物によって外壁が損傷した場合」や「外壁材が剥がれた場合」のその修理のためであれば、火災保険が利用できる場合もあります。
ですが、加入している保険内容や保険会社によっても判断が異なるので、外壁塗装を行う前に確認しておくことが大事です。
屋根や付帯部などまとめて工事を依頼する
外壁塗装費用を抑えるには、屋根や付帯部などまとめて工事を依頼することです。
外壁塗装の中には足場の設置費用が含まれており、この設置費用は外壁塗装の総額の2割程度と言われることが多いです。仮に外壁だけを塗装した数年後に屋根だけを塗装する場合には、工事の度に足場の設置費用が必要になってしまいます。
そのため、外壁の塗装と同時に屋根や付帯部の塗装をまとめて依頼した方が、足場費用を節約することが出来ます。
外壁塗装費用の支払いのタイミングや方法
外壁塗装費用の支払いのタイミングや方法は依頼する業者によって異なります。ここでは一般的な支払いのタイミングや方法について紹介していきます。
支払いのタイミング
外壁塗装費用の支払いのタイミングは、大きく分けて3種類のタイミングがあります。
施工後に一括支払い
外壁塗装費用の支払いのタイミングとしては施工後に一括支払いが一般的です。
個人住宅などの外壁塗装に必要な工期は2週間から1か月程度になることが多く、通常は塗装工事が完全に終了してから支払いを行うことになります。外壁塗装の仕上がりをしっかりと確認してから費用の支払いを行うためトラブルに発展することも少なくなります。
施工前に1回、施工後に1回の支払い
外壁塗装費用の支払いのタイミングとして、施工前に着手金の支払いと施工後の残金の支払いの2回払いのケースもあります。外壁塗装で使用する足場は専門の足場業者に依頼することが多く、塗装業者が先行して足場費用を立て替える必要があります。
施工前に着手金の支払いをしてもらうことで足場費用の支払いや塗料などの材料費などの支払いも可能になります。また依頼主としても施工後の状態を確認した後で残金の支払いをするため安心できます。
施工前に一括支払い
外壁塗装費用の支払いのタイミングとして施工前に一括支払いをするケースもあります。しかし外壁塗装においては施工前の一括支払いには注意が必要です。
塗装工事の工程や仕上がりを確認すること前に支払いをしてしまうことで、希望通りの仕上がりにならないケースも少なくありません。
施工前に一括支払いを求められたら、理由をしっかりと確認して即決しないようにしましょう。
支払い方法
外壁塗装の支払い方法には現金払いのほかにも方法があります。
現金・銀行振り込み
外壁塗装費用の支払い方法としては現金や振り込みが一般的です。
直接現金をやり取りすることもありますが、銀行振り込みなどで支払いをすることが多いです。銀行振り込みで外壁塗装費用の支払いを行う場合には、事前に振り込み手数料をどちらが負担するのかを確認しておきましょう。
クレジットカード
外壁塗装費用の支払い方法として、クレジットカード払いが可能な業者も増えています。クレジットカード払いによるポイント獲得など依頼主にとってお得なクレジットカードも多くあります。
ただし、塗装業者のほとんどはクレジットカード払いにまだ対応していないことが多いです。
クレジット払いは、カード会社に「3~5%」を手数料として支払わなければなりません。高額の工事である外壁塗装工事で「3~5%」かかってしまっては、かなりの痛手です。そのため、クレジット対応をしている会社は少なく、していても見積もり前にクレジット払いの有無を確認されたり、一定額までしかクレジット払いで支払えないことも多いです。
このようなことから、クレジットカード払いを希望の場合は、事前に可能かを確認する必要があります。
リフォームローン
外壁塗装費用の支払い方法として、リフォームローンを利用する方法があります。
外壁塗装業者がリフォームローンを取り扱っているケースもあります。また銀行でもリフォームローンの相談は可能なため、塗装業者を通さず銀行で相談するのも良いでしょう。
ただし、リフォームローンの場合には金利が発生するため、外壁塗装費用の総額が増えてしまうことになります。必要な金利や頭金などの情報も事前に相談しておくことが大事です。
最後に
外壁塗装「30坪」の相場価格は、平均して「80万円~95万円」くらいとなります。
その他条件により価格は変動しますが、提案された見積り金額が相場より大きく差がある場合は注意が必要です。
また、外壁塗装で失敗しない為には焦らず相見積りを取り、信頼できる施工業者・担当者を選びましょう。