複数の業者で外壁塗装の費用を比べると、高い業者もいますし、安い業者もいます。
どうせ同じ工事をやるなら少しでも安い方が良いと思う方も多いでしょう。ですが、相場よりも少し安いという場合には問題ありませんが、「安すぎる」業者には注意が必要です。
外壁塗装は、安さを追求しすぎると、失敗することになります。安すぎる見積もりは、結局、何かの費用を削っているためです。
ここでは、外壁塗装の費用を格安にできる理由と業者選びで失敗しない方法について解説していきます。
外壁塗装を安くできる理由とは?
手抜き工事をしている
外壁塗装で格安な工事ができる理由としてもっとも多いのがこの手抜き工事です。
価格を下げれば利益が減るわけですから、利益を出すためには、手抜き工事をすることになります。手抜き工事の方法は、作業時間の短縮を行う事です。
通常の外壁塗装では、2人作業で「8日~14日」ほどかかりますが、この作業を「4日~7日」と約半分の日数で完工させて人件費を削っているのです。
主な手抜き工事内容
- 下地調整(ケレン作業、ひびわれ補修、釘浮き補修)などをやらない
- 養生が雑
- 下塗り、上塗りと2回塗りしかしない
- コーキングはすべて増し打ち(サイディング壁の場合)
- 塗料が乾いていないのに、次の工程を行う
- 雨が降っていても関係なしに作業を行う
- 細部の細かい塗装・コーキングが雑、汚い
上記の手抜き工事を行い、早期工事完工による人件費の大幅な削減が、格安工事でできる理由の一つです。
手抜き工事について詳しくはこちら↓↓
足場の簡略化
足場の簡略化とは、足場費用を抑えるために簡素な足場しか組まないことで、足場設置にかかる費用や人件費を抑えます。外壁塗装を行うためには足場を設置する必要がありますが、簡略化された足場かどうかを判断することは難しいです。
しかし、簡略された足場で作業する場合には、職人の安全性や仕上がりにも影響する大事なポイントになります。簡略された足場では塗装箇所まで届かなかったりするため、無理な体勢での作業を余儀なくされてしまうこともあります。
塗料の質を下げている
外壁塗装で格安な工事ができる理由として次に多いのが塗料の質を下げる方法です。
塗料を薄める
一般的な戸建てで使用する塗料缶数は、「2缶~5缶」くらいです。
この必要な缶数は㎡数などで決まっていますが、薄めて使用すると「1缶~2缶」減らすことができます。塗料のグレードが良くなるほど、1缶あたりの金額も大きくなるので、塗料を薄めるとその分安くできてしまうです。
塗料のグレードを変える
外壁塗装では、さまざまな耐久性の塗料があります。
塗料のグレード
- ウレタン塗料:8~10年
- シリコン塗料:10~12年
- ラジカル塗料:15年
- フッソ塗料:18~20年
耐久性が高いほど、費用が上がり、低いほど安くなります。
外壁塗装では、「下塗り、中塗り、上塗り」を行いますが、仕上げの「上塗り」だけを契約した塗料を使い、「中塗り」をグレードの低い塗料にして材料費を安くあげている業者もいます。
つまりは、中塗りは「ウレタン塗料」、上塗りは「フッソ塗料」ということです。また、上塗り塗料だけ用意して、中塗りは前回の現場で余った塗料を使用する業者もいます。
余り塗料が、まったく同じものであり、説明をして同意を得て使用する場合には問題ありませんが、「グレードやメーカー、色」が違うケースです。このように「中塗り塗料のグレード」を下げたり、「余り塗料」を使用することで、費用を下げることもできてしまいます。
乾燥時間を守らない
外壁塗装の各工程ではメーカーで定められた乾燥時間があります。塗料本来の性能を十分に発揮するためには、メーカーが指定する乾燥時間を遵守する必要があります。しかし、所定の乾燥時間を守らず次の工程に移ってしまう業者もいます。
一つの現場に多くの職人を配置していう場合には、塗料の乾燥時間は事件費の無駄になります。乾燥時間を守らずに作業を開始することで人件費の無駄を減らす業者もいます。
新人や若手(歴1~2年)がメインで作業に入る
その他、人件費を抑えるために、ベテランを外して経験の浅いスタッフを連れてくることが多いです。
ベテランの職人や現場管理がたまに見にくるだけで、実際にメインで作業する職人が、新人や経験の浅い職人ばかりということです。そうなると、ほとんど経験が少ない作業者ということになりますので、外壁塗装が失敗に終わる可能性が高くなります。
ベテラン職人(親方)の人件費は、一日の作業で「約2万円」ですが、新人や歴の浅い職人の場合では「約8千~1万1千円」です。10日の作業で、ベテラン「20万円」にたいして、新人や若手では「8~11万円」と約半分の人件費用で抑えるができてしまいます。
後から追加で金額が増える
最後に、悪徳業者の手口の一つを解説します。その方法は、最初は格安の見積もりを出します。そして、後から追加工事が発生したと言って、追加工事分の見積もり書を出してきます。
このようなことをする業者の多くは、最初の見積もりに明細がなく、「一式」になっています。しがたって、最初の見積もりには、何をどこまで見積もりに含めていたのかが分からないようになっています。
また、実際に作業をしたら「~が腐っていたから塗装は難しい」と言って、高額な工事を勧めるケースも多いです。
最初に見積もりを安く出して契約を取り、後から追加工事を行い利益を得ているということです。
ですが、優良業者が普通に工事を行っていても追加工事は発生してしまうこともあります。
追加工事があるからすべてが悪質というわけでもありません。(詳しくは下記)
安さを売りに営業してくる訪問業者は注意!
今なら「足場が無料」、「モニター価格」、「パック料金」、「激安キャンペーン中」などと、いろいろな言い方で安さを売りに営業してくる訪問業者がいます。
この訪問業者の「今だけ限定で安い」という言葉を信じてしまうと、外壁塗装で失敗してしまう可能性が高くなります。
訪問業者の塗装費用は安いのか?
結論から言いますと、訪問業者の塗装費用は安くありません。
訪問業者の見積もり費用には、この営業マンの人件費(高額歩合)と、ほとんどが下請けに流す(中間マージン)が含まれており、一般的な相場価格よりも高いケースがほとんどです。今なら安くできるというのは、残念ながら営業トークであり、もともとの高額な費用から割引きしているだけとなります。
訪問業者の場合は即決を迫られますが、冷静になって、他の塗装業者と見積もりを比較しましょう。
訪問業者の工事の質は?
訪問業者の工事の質は、高い業者もいれば低い業者もいます。
基本的に下請けに流している訪問業者が、どのような塗装屋さんを使っているのかによって質が変わります。下請けの塗装屋さんの質の良し悪しの見分け方は、見積もり費用でわかります。
見積もり費用は、下請けの塗装屋さんの費用に上乗せしている形なので、相場よりも費用が大幅に高ければ質が良く、相場と変わらないくらいであれば、質は良くない可能性が高いでしょう。
塗装屋さん価格 | 営業マージン | 工事金額 | |
質が良い業者A | 60万円 | 30万円 | 90万円 |
質が悪い業者B | 40万円 | 30万円 | 70万円 |
質が悪い業者C | 40万円 | 50万円 | 90万円 |
相場価格 | 70万円 | 0万円 | 70万円 |
質が良い業者Aは、「60万円分」の工事をしてくれるのに対し、質が悪い業者Bは、「40万円分」の仕事しかしてくれないことになります。
ただ、質の悪い業者Cみたいな中間マージンが高額なだけのケースもありますので注意が必要です。もちろん一番良いのは、中間マージンの発生しない「直接自社施工店」に依頼することが一番です。
訪問業者の中には、質が良い業者もいますが割高なので、基本的には選択肢から外した方が良いでしょう。
外壁塗装で失敗しないためには?
外壁塗装で失敗しないためには、上記で説明してきましたが、「安さで決めない」ということです。
費用はもちろん大事だと思いますが、他にもしっかりと業者の説明を受けて、質問していくことが大事です。
確認しておきたい事項
- 外壁塗装の保証年数
- 工事後のアフターの対応について
- 施工方法について(ケレンは行うか、何回塗りかなど)
- 何の塗料を何缶使うのか
- 近隣への挨拶の対応
- 実際に施工する職人はどのような人なのか
- 追加費用は発生するのか
- 工事は何日間かかるのか
- 何人で作業するのか
上記の内容で、とくに「保証年数」や「アフター対応」については確認した方が良いでしょう。
施工に自信がある業者は「保証内容が明確」ですが、手抜き工事を行う業者は、保証やアフター対応を濁してくるためです。
また、全体的に納得できるまで質問を行い、営業担当の人柄や知識も確認しましょう。
それ以外にも、地元密着で施工している業者で、できれば「近所の評判」や実際に工事を行った「施工写真や現場」も確認できると、成功する確率が高くなると思います。
ココがポイント
安くて嬉しいのは最初だけかと思います。
実際に工事に入って質が悪く、数年後に不具合が出ればそれは後悔に変わります。
安さだけでは選ばず、しっかりと内容を比較することが大事です。
トラブルを避けるために知識をつける
トラブルを避けるためには、外壁塗装に必要な知識を身につけておく必要があります。ここでは外壁塗装でのトラブルを避けるための方法を紹介します。
相見積もりで比較検討
外壁塗装を検討する際には、必ず相見積もりで比較検討することが大事です。相見積もりでのポイントは、複数の塗装業者に同じ内容で見積もりを依頼する事です。
複数の業者から異なる施工方法や見積もりが提示されてしまうと、最終的な判断を下すことが難しくなってしまいますので、同じグレードの塗料や施工方法で相見積もりを依頼しましょう。
このように見積もりを取ると、業者の特徴や相場金額など比較検討がしやすくなりトラブルを減らすことができます。
塗装面積を自分で計算する
外壁塗装の見積もりでは一般的に塗装面積に施工単価を乗じて費用が算出されています。
塗装面積を自分で計算することができれば「平米面積」が間違っていないか確認でき、「施工範囲」、「費用の誤差」が生まれなくなります。
まれに平米数が少なく安いお見積もりがでた場合、塗装が含まれない箇所があり、後から追加になるなどのトラブルも発生します。
そのようなことが無いようにある程度正確な平米数を知っておくことは検討時に役に立ちます。
不要な工事がないかチェックする
外壁塗装を依頼する際には、見積もり書の内容に不要な工事がないかチェックしましょう。見積もり書の内容には、専門的な用語も多く理解が難しい場合もあります。わかりにくい表現の中にも不要な工事が含まれていることがあり、作業した後で不要と判断しても費用が発生することが一般的です。
そのため、少しでも疑問に感じた場合には業者に確認することが大事です。
優良業者に外壁塗装を安く依頼するには?
優良業者に外壁塗装を安く依頼するには、業者の特徴のほかに自治体や保険を活用する方法もあります。ここでは優良業者に外壁塗装を安く依頼する方法を紹介していきます。
ハウスメーカーではなく地元の業者
外壁塗装を安く依頼するには、ハウスメーカーではなく地元の業者に依頼しましょう。ハウスメーカーに依頼する場合には、中間マージンが発生します。少しでも安く外壁塗装を安く依頼するには、地元の優良業者に工事を依頼することが大事です。
塗装専門業者への依頼
地元の業者の中でも、さらにリフォーム会社や工務店等ではなく、専門の塗装業者に依頼しまししょう。自社施工で行っている会社なので、マージンがありません。
助成金や補助金を活用する
外壁塗装を安く依頼するには、自治体の助成金や補助金を活用する方法があります。外壁塗装に活用できる助成金や補助金を設定している自治体もあります。外壁塗装での補助金は断熱塗料や遮熱塗料を使用する場合が多いです。
省エネ対策に貢献できる外壁塗装を検討している場合には、自治体の助成金や補助金を調べておくと良いでしょう。
火災保険の確認
外壁塗装を行う際に火災保険が利用できるケースがあります。火災保険の中には風災による被害に対応した保険があります。台風や竜巻などで被害を受けている場合には、修繕と同時に外壁塗装を検討する方法もあります。
外壁だけではなく、屋根に損傷があった場合もその修理費用に足場代がでますので、その足場を利用することで外壁塗装をお得に施工することが可能です。
同時に屋根塗装を依頼する
外壁塗装同時に屋根塗装を依頼することで将来的なコストを抑えることができます。スレート屋根や金属製屋根の場合には外壁塗装同様に定期的な塗装が必要です。
そのため、外壁と屋根を別々に塗装する場合は、その都度足場の設置費用が必要になりますが同時に行えば足場代が一回で済むのでお得に施工できます。
閑散期に依頼する
外壁塗装を安く依頼するには、塗装業界の閑散期に依頼する方法があります。外壁塗装は天候や気象に大きな影響を受けます。また一般的な住宅の工期は1週間から2週間程度と長く、天候に恵まれた時期は工事の依頼も多くなります。
一方で、梅雨時期や台風シーズンなど雨が多くなる時期は、外壁塗装の依頼が減少します。塗装業者としては自社職人への給与など定期的な工事の依頼がかかせません。閑散期に工事を依頼することで通常よりも安く外壁塗装を依頼できる場合もあります。
最後に
外壁塗装では、安さを売りにしている業者も数多くいます。ですが、すべてがそうとは言いませんが、良くない理由で安くなっているケースがあります。
このような施工業者と契約してしまうと、後から後悔してしまうことになります。
そのため、外壁塗装の業者選びは「安さだけ」で判断せず、「保証やアフター、施工内容や塗料、営業担当の人柄」などをしっかりと確認して決めていくことが重要です。
できれば、地元の塗装店を選び、比較して「失敗のない外壁塗装」を行いましょう。