外壁塗装で部分補修が可能なケースをご存知でしょうか。
全体的に塗装を行うと、それなりに費用が掛かってしまいが、対象箇所のみ部分的に補修を行う事で費用を大幅に抑えられます。
しかし、傷みの程度によっては部分補修だけでは納まらないこともあるので注意点についても理解が必要です。
そこで今回は、外壁塗装を部分補修で行う場合の種類や補修方法、注意点を解説します。
部分補修の方法とその費用について
建物の部分補修は傷みや劣化の種類から補修方法を検討する必要があります。症状に合わせた補修を行わないと、すぐに同じ傷みや劣化が再発してしまうことにも繋がります。
部分補修にはさまざまな種類やその補修方法があり、補修ににかかる費用も異なります。
ここでは、傷みの種類別に必要な「補修方法」と「費用の目安」を解説していきます。
補修費用について
補修費用については単価で出していますが、数量が小さい場合でも人件費分「約1万5千円以上」は最低ラインで掛かってきます。
ひび割れ
補修方法
サイディングやモルタル外壁に「ひび割れ」の症状がある場合には、コーキングによる部分補修が一般的です。
ひび割れは、その幅や深さによって、傷みの程度を測ることができます。
「幅が0.3mm以下」
0.3mm以下のひび割れはヘアクラックと言われます。表面の塗膜などに出来るひび割れで構造上の問題には繋がりません。
「幅が1mm以上」
1mm以上ののひび割れ構造によるクラックの可能性が高いので、すぐにでも補修が必要な状態です。補修方法は主にコーキングもしくはエポキシ樹脂の充填によって対応します。
建物の構造体やひび割れの程度によっては、U字カットや左官処理などが必要になるケースもあります。
補修費用
構造クラックのひび割れ補修の費用の目安は、「3,000円/m前後」です。クラックのコーキングによる補修費用の他にも、補修跡を目立たなくさせる為には、周辺の塗装に合わせた塗装費用が必要になります。
美観目的に行う、部分塗装の費用の目安は「2,000円~4,500円/㎡前後」です。
コーキング材の剥離
補修方法
コーキング材は弾力のあるゴムのような素材ですが、経年劣化によって硬化し、ひび割れが発生します。さらに劣化が進んでしまうと「剥離(剥がれ)」に繋がります。
コーキングの剥離が部分的に発生している場合は、コーキングの打ち増しや打ち替えで対応することができます。
しかし、使用するコーキングの種類には注意が必要です。
部分補修で塗装まで行う場合には、塗料を塗ることができる「ウレタン」や「変性シリコン系のコーキング」を使用する必要があります。
補修費用
コーキングの劣化状況がひび割れ程度であれば打ち増しで部分補修を行うことができます。
既存のコーキングの撤去を行わない打ち増しの費用の目安は「700円/m前後」です。既存のコーキングを完全に撤去してから行う打ち替えの費用の目安は「1,000円/m前後」です。
サイディングの浮き
補修方法
住宅に多く採用されているサイディングは、経年劣化によって浮きや反りが発生することがあります。
部分的に浮きが見られる場合には、釘やビスを使った固定が補修方法として一般的です。ですが、反りが激しいサイディングの場合には、ビスで固定することで割れてしまうことがあるので注意が必要です。
補修費用
サイディングの浮きに対する、釘やビスでの補修費用の目安は「1~2万円」くらいです。
釘やビス補修で対応できない場合は、サイディングの交換が必要となります。
部分的なサイディングの交換にかかる費用は「2~3万円前後」です。既存のサイディングの撤去費用から新しいサイディングの設置費用などさまざまな費用が必要になります。
しかし、築年数が経っている場合には、同じサイディングが入手できないこともよくあるので注意が必要です。
鉄部の錆び、腐食
補修方法
鉄部の錆びや腐食による劣化の場合には、部分補修として錆びの撤去などの下地調整後、サビ止め、中塗り、上塗りの順番に塗装を行います。
また腐食による穴あきの場合は防水テープで補修や部分的な張替えが必要になります。
補修費用
鉄部の錆びの撤去、下塗りから上塗りまでの塗装にかかる費用相場は、「2,000円~3,000円/㎡前後」です。錆びによる穴あき部分の張り替えには、1か所あたり「5,000円~10,000円」の費用が必要になります。
苔や藻などの汚れ
補修方法
建物の立地条件によっては、外壁に苔や藻などの汚れが付きやすくなります。苔や藻は湿気をとどめてしまうので、外壁材の劣化が進みやすい状態です。
高圧洗浄機を使ってサイディングについて汚れを除去する方法が一般的です。高圧洗浄機は家庭用も販売されていますので、定期的に洗浄することで綺麗に保つことができます。
補修費用
高圧洗浄にかかる費用の目安は、「200~300円/㎡前後」です。
高圧洗浄は水圧を利用して汚れを洗浄しますが、頑固な苔や藻が発生している場合にはバイオ洗浄を行うこともあります。薬品を使って苔や藻をしっかりと洗い流すことができます。バイオ洗浄にかかる費用の目安は「300円~500円/㎡前後」です。
外的要因
補修方法
飛来物より外壁にできた傷や割れ、給湯器の交換などを行った際には部分補修が必要になるケースもあります。
飛来物による傷や割れは、傷みの程度によってコーキングでの部分補修もしくは、張り替えで対応することができます。給湯器などを交換した場所の部分補修では、既存の色に合わせた塗装が最も簡単に補修する方法となります。
補修費用
飛来物による傷や給湯器などの移動によってできた場所の部分塗装、コーキングにかかる費用の目安は「2,000円~4,500円/㎡前後」です。既存の外壁の種類や使用する塗料のグレード、色によって価格は左右することがあります。
部分張替えを行う場合は、「2~3万円」の費用がかかってきます。
部分補修の注意点
部分補修は建物全体の外壁塗装をするよりも補修にかかる費用を抑えることができます。
しかし、部分補修を行う際には、目先の安さだけを考えず、劣化の原因や補修方法をしっかりと把握しておくことが大事です。
ここでは、部分補修を行う際の注意点を解説していきます。
原因調査はしっかりと行う
部分補修を行う際には、部分的な傷みの原因をしっかりと把握した上で補修することが大事です。
表面に見えている傷みの原因がどこにあるのかを調査することが必要です。例えば、軒天にシミが出てきた場合には、部分的に塗装で補修するのではなく雨漏りなどの可能性を調査することが重要なポイントになります。
部分補修でも足場代がかかるケースもある
補修費用を抑えることができる部分補修ですが、屋根や2階部分の壁などの高所での作業では足場代など費用が別途必要になります。
脚立や梯子を使って作業することができても、作業する職人の安全や補修の精度にも影響するので、足場の設置は必ず必要になります。
部分補修で設置する足場代は、建物全体に設置するよりも費用を抑えることができますが、部分補修を繰り返すことで足場代がかさんでしまう事には注意が必要です。
中途半端な仕上がりで美観が悪い
部分補修では、中途半端な仕上がりになることが多く、建物全体の美観を損ねてしまうこともあります。
建物の死角担っている場所では部分補修の範囲も少なく済みますが、美観に影響する場所ではある程度の範囲で部分補修を行うことも大事です。入隅や出隅を上手く使って補修の範囲を区切ることで、柄の違いや色の違いも目立ちにくくなります。
次々工事になる可能性の抑止
基本的に外壁の傷みは、全体的に同じように劣化します。
日当たりなどの影響で、部分的に傷みが早くなることもありますが、他の箇所も傷みが同様に進んでいると考えて良いでしょう。
つまりは、目立つ傷みの箇所を直したとしても、数年後に他の箇所も傷みが目立つようになり、次々に部分補修を繰り返さなければいけない状況となります。
そのため、全体的に劣化状況をしっかりと確認してから、部分補修か全体補修の検討が必要です。
DIYでの補修は慎重に
部分補修に必要なコーキングや塗装道具などは、ホームセンターでも簡単に入手することができます。業者に依頼するよりもDIYで補修を行った方が費用を抑えられるケースもあります。
しかし、表面上の見た目の補修であればDIYでも問題ありませんが、重大な劣化に繋がるサインのケースもあります。
表面的には部分的なサイディングボードの腐食だとしても、原因が雨漏りや水漏れなどの場合には、建物の構造体などへの影響も考えられます。
つまりは、表面上だけの傷みだけではなく、内部の木下地や躯体が腐食しているケースもありますので、注意が必要です。
このようなことから、部分的な傷みを発見した際には、すぐにDIYで解決しようとせずに、専門家の意見を聞いてからがおすすめです。
まとめ
外壁は部分補修でも対応することができ、傷みの種類によって補修方法や費用は変わってきます。この部分的な補修を行う事で、全体的な外壁塗装を行うよりも費用が抑えられるメリットがあります。
ですが、部分的な傷みが多い場合や高所での補修を行う場合には、計画的な補修が必要です。
とくに高所での補修には足場の設置費用など高額になることもあるので、一度に全体の外壁塗装を行った方が長期的に見た場合の費用を抑えることにも繋がります。また、現状は部分的な傷みでも、数年後に次々と傷みは増える可能性もあります。
そのため、部分的な補修を行う前に、劣化状況を把握して長期的な目線で施工方法をどのように行っていくのか、しっかり検討していくことが大事です。