アパートの老朽化を防ぐためだけでなく、アパートの入居率を上げるためにも大切なのが外壁塗装です。
老朽化と入居率の低下には密接な関係があるので、定期的に塗り替えを行って美しい外観を保つことが大切です。そんな外壁塗装ですがどれくらいの費用がかかるのでしょうか?
ここでは、アパートの外壁塗装にかかる費用についてご紹介します。
アパートの外壁塗装の費用相場について
アパートの外壁塗装にかかる費用の目安
建物の階数 | 費用の目安 |
2F建て | 150万~300万円 |
3F建て | 200万~400万円 |
外壁塗装にかかる費用は、塗装に使う「塗料の種類」と「塗装する面積」により大きく異なってきます。
また「劣化の進行状況」や「建物の立地条件」なども影響してきます。
正確な費用を知るためには見積もりをとってみるのが一番ですが、おおよその価格としては一般的な2階建てのアパートなら「150万円から300万円」くらいとなります。
3階建てのアパートなら「200万円から400万円」くらいとなるでしょう。
塗料の種類で費用は大きく変わる?
アパートの外壁塗装の費用を大きく左右するのが「塗料の種類」です。
とくにアパートの場合には、「一戸建て」と違って塗装する面積が広いので、塗料の違いでその費用は大きく異なってくるのです。
塗料の種類 | 耐久年数 | 費用相場 |
ウレタン | 8~10年 | 1800~2500円/㎡ |
シリコン | 10~12年 | 2500~3000円/㎡ |
ラジカル | 15年 | 3000~3500円/㎡ |
フッ素 | 18~20年 | 4000~5000円/㎡ |
また、費用ばかりではなく「塗料の耐久性」についても注意しなくてはいけません。外壁塗装で使用される塗料にはさまざまな種類があり、それぞれ耐久性にも違いがあります。
耐久性の低いものはそれだけ費用も安く、耐久性が高いものはそれだけ費用も高くなっています。安さばかりを重視すれば耐久性も落ちるということになるので、それだけ塗り替え周期も短くなります。
耐久性の低い塗料を選べば1回あたりの外壁塗装の費用は抑えることが出来ても、長い目で見ればコストが高くつくという結果になります。
ですから外壁塗装の費用は1回の塗り替え費用を考えるのではなくて、塗料の耐久性も十分に考慮して長期的な視点で考えることが大切になってきます。
おすすめの塗料は?
シリコン・ラジカル塗料
外壁塗装で使われる塗料には色々な種類がありますが、アパートなどの通常の住居で、よく使用されるのは「シリコン塗料」と「ラジカル塗料」です。
数ある塗料の中でも、シリコン塗料とラジカル塗料は耐久性と費用のバランスが良いからです。もっともコストパフォーマンスに優れた塗料と言えます。
シリコン・ラジカル塗装の耐久年数は「10年から15年」ほどですが、そこまで値段も高くなくて耐久性もあるので人気があります。
フッ素・無機塗料
フッ素塗料や無機塗料になればそれだけ値段も高くなりますが、高級塗料のフッ素塗料なら耐久年数は「15年から20年」で、最強の耐久性を誇る無機塗料なら「20年から25年」もの耐久年数があります。
アパートは仮設足場が高額なので、少しも塗装の回数を減らしたいところです。そこで、超耐久のフッ素・無機塗料を使用すれば、塗装の回数を減らすことが出来て、状況によって将来的なランニングコストを下げる事もできます。
どの塗料が良いのかは、将来的なメンテンナンスをどのように行っていくのかで変わってくるでしょう。
アパート(建物)の劣化状況や立地条件でも費用が変わる?
アパートの外壁塗装では、「建物の面積」や「塗料の種類」で、大きく変わってきますが、それ以外に「建物の劣化状況や立地条件」によって費用も変わってくるため注意が必要です。
劣化状況が酷いと修理費用がかかる?
外壁材の表面に「大きなひび割れ」が多数発生していたり、外壁材からの「雨漏り」によって、外壁塗装を行う前に修理が必要となるケースがあります。
ひび割れの場合には、コーキングによる「防水作業」など、下地調整を念入りに行う必要が出てきます。雨漏りしていた場合には、「雨漏り箇所」の特定やその「修理作業」に大きく費用がかかることがあります。
雨漏り被害で最悪のケースは、「外壁材の交換」や「躯体の補修・交換」を行うこともあり、その費用は高額になってくるでしょう。
立地条件が悪いと足場費用が割り増し?
外壁塗装を行うアパートの立地条件によっては、足場代の運搬費用や設置作業が割り増しとなるケースがあります。
アパート付近に車が止められず、「車からアパートまで距離がある場合」に運搬費用が上がってきます。また、アパートの構造が複雑であったり、敷地が狭く「足場の設置に手間がかかる場合」には設置費用も上がってきます。
塗装作業では、そこまで影響がありませんが、仮設足場の設置の際には費用が相場よりも高くなるケースがありますので注意が必要です。
アパート塗装の会計処理はどうなる?
アパートの家賃を不動産所得として収入を得ているオーナーの方は、外壁塗装を行うとその費用が経費として会計処理することが可能となります。
ただし、会計処理の方法は2種類ありますので注意が必要となります。その会計処理は「修繕費」と「資本的支出」に分かれます。
修繕費:アパートの外壁のひび割れなどの劣化を補修する原状回復工事
資本的支出:アパートの美観や機能性を付与させるなどのより良い状態にする工事
原状回復にかかる修繕費は塗り替えを行った年に「一括で経費計上」することができますが、資本的支出で塗り替えを行った場合には数年に分けて「減価償却処理」を行います。
ただし、アパートの外壁塗装では修繕費と資本的支出の判断が難しく、経費計上できる期間が異なるため、専門家に相談しながら勧めることが大事です。
アパートの外壁塗装のタイミングは??
外壁の劣化が進む前に塗り替えを行うことが大切ですが、いつ外壁塗装をすればよいかタイミングに悩む人も多いでしょう。
塗り直しのタイミング
・外壁材のひび割れ
・塗膜の色あせ(チョーキング減現象)
・カビや藻の発生
・塗膜の剥がれ、腐食や劣化
これらの劣化症状があれば、塗装の塗り直しを検討した方が良いでしょう。外壁塗装をしないで放置してしまうと、ひび割れが悪化して外壁材が割れたり、膨れたりします。放置期間によっては、雨漏りリスクもあるため注意が必要です。
塗装を行う年数の目安としては、使用する塗料によって耐久年数が異なりますが、通常は「10年から15年」が塗り替え周期となります。
塗料の種類によって塗り替え時期もかなり変わってくるので、1回あたりの費用だけでなく長期的なコストも考慮して選んでいきましょう。
アパートの外壁塗装の注意点
アパートの外壁塗装は、通常の戸建てよりも費用が高額になることや長期的な計画が重要になります。ここではアパートの外壁塗装の注意点を紹介します。
アパートで長期修繕計画が重要
アパートの外壁塗装では長期修繕計画が重要です。外壁の劣化状態や予算に合わせた最適な修繕計画をしっかりと立てて置く必要があります。外壁塗装に必要な資金計画や工事内容の精査が大事です。
複数の業者から相見積もり取る
アパートの外壁塗装では必ず複数の業者から相見積もりを取りましょう。外壁塗装の費用が高額になること最適な塗り替え方法を提案してもらうためにも、複数の業者から相見積もりを取ることが大事です。
500万円以上の工事は建設業許可が必要
アパートの外壁塗装費用が500万円以上になる場合には、建設業許可が必要です。外壁塗装を依頼する業者の建設業許可の有無を必ず確認しましょう。 大型のアパートの場合は費用が500万円を超えることも十分考えられます。
屋根や防水工事も同時に行う
アパートの外壁塗装では屋根や防水工事も同時に行うことが大事です。外壁の劣化だけでなく、屋根や防水工事の劣化も重大なトラブルに発展することがあります。
雨漏りなどは入居者への迷惑に直接関係するため、外壁塗装の際に屋根や防水工事を行いましょう。一度に建物全体の修繕工事を行うことで費用を抑えることにもつながります。
入居者への告知が必須
アパートの外壁塗装を行う際には、事前に入居者への告知が必須です。外壁塗装工事では足場の設置や高圧洗浄など音が発生する工程や、洗濯物を制限するなどの入居者への配慮が必要になります。
事前に告知することで工事を遅延なく進めることができます。また入居者からの苦情などを減らすことにもつながります。
アパートの外壁塗装をするメリット
アパートの外壁塗装をするメリットは、美観が良くなることや修繕目的以外にもあります。
ここではアパートの外壁塗装をするメリットについて紹介します。
綺麗な外観で入居率アップ
アパートの外壁塗装をすることで入居率がアップする可能性があります。
綺麗な外観のアパートの方が入居者の評価も高くなります。奇抜な色やデザインを避けて、万人に受けるおすすめの色やデザイン配色にすることが大事です。
外壁塗装で資産価値の向上
外壁塗装をすることで資産価値の向上が図れます。アパートの資産価値は立地だけでなく、デザイン性や管理状態によって変動します。
外壁塗装によって美観の保持や性能の向上が期待できるので、しっかりと状態を管理することで資産価値をあげることができます。また定期的に外壁塗装を行うことで防水性が維持され、建物の寿命も長くなるため資産向上に影響が出るでしょう。
最後に
アパートの外壁塗装の費用は、劣化状況や立地条件、大きさによって様々です。
上記条件の費用は、変えられませんが唯一費用を選べるのは塗料ランクです。塗料の種類ごとに費用や耐久年数が異なり、費用と耐久年数は正比例しているので十分に検討して下さい。
また、塗装を行う施工業者によっても費用が変わりますので、相見積もりを取って比較していくことが大事です。